石井正三常任理事は、3月23日の定例記者会見で、会内の救急災害医療対策委員会が横倉義武会長からの諮問「1.地域包括ケアシステムにおける救急医療のあり方~メディカルコントロール体制の強化~」「2.指定公共機関としての日本医師会のあり方」について取りまとめ、報告書の概要を説明した。
報告書は、(1)地域包括ケアシステムにおける救急医療のあり方~メディカルコントロール体制の強化~、(2)指定公共機関としての日本医師会のあり方―の2部構成となっている。
(1)では、地域包括ケアシステムにおける救急搬送・救急医療のあり方や役割について、救急搬送体制に限らず、広義の「メディカルコントロール」を、今後の医療・介護体制の重要な要素として考えていくべきであるとし、「メディカルコントロール体制」の日本語呼称として「医療統括体制」を提案。高齢者の救急医療に関しては、地域包括ケアシステムに含まれる「医療統括体制」としての救急医療であると位置付け、地域医師会のイニシアティブの下、地域の限りある医療資源を効果的に配分できる「専門性」を具備した医師が、「医療統括体制」を担うことが求められるとしている。
更に、病院救急車を活用した地域高齢者搬送システム(東京都) をはじめ、超高齢社会と救急蘇生、救急救命士・救急搬送の今後の課題、保育所・幼稚園・学校における救急蘇生法、及び医療統括体制の将来の目標(地域包括ケアシステムと災害対策)などについても触れられている。
(2)では、日医が災害対策基本法上の「指定公共機関」として担うべき責務について、南海トラフ大震災等を見据え、都道府県医師会と連携しながら、JMATの充実を図るとともに、国や地方の災害対策行政における医療の位置付けを高めていくことが必要であると指摘。
また、東日本大震災におけるJMATIIの活動にも触れ、岩手県医師会高田診療所の閉所をもって終了することを提案している(本提案を受け、日医では平成27年度第12回理事会(3月15日開催)において、JMATIIの活動終了を決定)。
その他、本報告書には、参考資料として、「2015年度『災害医療に関する調査』結果概要」「『記録的大雨による鬼怒川の堤防決壊での活動』のヒアリング概要」が添付されている。
報告書の内容を説明した同常任理事は、本委員会での検討内容等も含めて、大災害への対応や、2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックへの対策について、更に検討していきたいとした。
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