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平成29年(2017年)5月20日(土) / 日医ニュース

国内外の平和と安全のために

勤務医のひろば

170520l.jpg 自衛隊に所属する医師の存在をご存知だろうか。そのほとんどが埼玉県にある防衛医科大学校の卒業生であり、全国に分布する自衛隊駐屯地や病院に配属されている。
 活動内容は多岐にわたる。通常は、地域住民も対象とした診療業務が主である他、隊員の健康診断や各種訓練の支援、同行などを行っている。
 有名なのは、災害派遣や国際緊急援助活動、PKO派遣での活動であろう。いつ何時発生するか分からない国内外の災害に備え、2時間以内に部隊と一緒に出発できる内科系・外科系の医師が、地域ごとに待機している。交代で繰り返し派遣され、隊員の健康管理や被災者の診療だけでなく、公衆衛生、医療指導、現状報告なども行っている。
 被害を最小限にとどめ、速やかに復興へとつながるように、各自治体や医療機関、保健所に加え、他国軍やWHOなど、あらゆる組織と連携して活動している。非常に国際交流豊かな職務であり、日本の国際貢献活動を対外的に示す一端となっている。
 もちろん、女性医官であっても優遇はない。アフリカでもどこでも、男性医官と同様に派遣される。例えば、イスラム圏への緊急援助活動等、現地女性を男性が診療できないため、女性医官のニーズは高まるのだ。
 では、いつどこで医官としてのスキルを身につけるのか。大学や自衛隊病院勤務だけでは経験不足であり、シニアレジデント世代の多くが、診療技術の向上のため、一般の市中病院で研修させてもらっている。ご指導くださった先生方も多いだろう。
 有事の際に円滑な診療ができるよう、国際社会に向けて日本の医療水準が高いと示せるよう、今後とも日々研鑽(けんさん)を積んでいきたい。

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