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平成29年(2017年)8月20日(日) / 日医ニュース

世代の狭間で

勤務医のひろば

170820p.jpg 吉田拓郎、フォークソングのプリンスと呼ばれた彼は歌った。
 『大人があと30年生きるなら 僕たちはあと50年生きるだろう この貴重なひとときを 僕たちは青春と呼んでもいいだろう』
 『青春の詩』、1970年のことだ。
 拓郎は肺がんを克服し、昨年ライブツアーを敢行した。71歳。
 まだまだ青春真っ只中に映る。
 団塊の世代で元気なのは有名人ばかりではない。仕事柄、いろいろな人に出会うのだが、68歳にして離島の診療所勤務を始める元外科医、69歳で40床を持つ内科医、70歳で毎日数十名前後の外来を診る小児科医。皆、嬉々として仕事をしている。
 それに比べると、僕らバブル世代は、いささかパワーがない。
 「60歳までは普通に当直したよ」
 「はー、私は無理です......」
 更に、僕らの下には、団塊ジュニア世代、ゆとり世代とつながるわけだが、仕事に対する熱量は確実に下がっていると思う。
 「仕事=人生=occupation=天職」から、「仕事=人生の一部=Work=労働」へと変化。
 医師不足、地域偏在、診療科偏在......、勤務医を取り巻く問題は山積している。でも、一番の問題は、世代間の「仕事」や「医師像」に対するギャップで、そこを埋めないと第一線で働く中堅若手勤務医の数は減る一方だ。
 酒席になると若手の本音が出る。
 「新婚旅行で2週間休みたい」「家庭を優先できる診療科を選ぶ」「ブラックな病院は嫌」「趣味は大事」
 若干の違和感を覚えながらも、彼らが「青春」を謳歌(おうか)していることに安堵する。
 この先50年を彼らが嬉々として働ける環境作りが、僕らの世代の役目か。だが、上から引き継いだ日本人のプロフェッショナルな姿勢をどう伝えていけばいいのか......、バブル世代は人知れず悩んでいる。

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