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平成30年(2018年)10月20日(土) / 日医ニュース

若手医師の医師会活動への参画

勤務医のページ

北海道医師会医学生・若手医師キャリア支援検討会の様子(2018 年7月15 日)

北海道医師会医学生・若手医師キャリア支援検討会の様子(2018 年7月15 日)

JDNとは?

 2010年10月にバンクーバーで行われた世界医師会総会において、世界中の若手医師の声を聴くためにJunior Doctors Network(JDN)が設立された。10カ国ほどの若手医師で始まった活動は、現在62の国と地域から医師が参画するまでに増えている。
 JDNの構成メンバーは世界医師会(WMA)の正会員(組織単位)ではなく、準会員(個人単位)である。
 従って、JDNの各国若手医師が必ずしも各国医師会の意見を代表しているとは限らないが、その代わりに彼らの率直な意見が聴けるように工夫されている。
 世界医師会JDNの主な活動は、テーマごとに設置されたワーキンググループにおける議論を経て、世界の若手医師の関心事に対する提言書を作成し、WMAの会議で提案をすることである。
 また、各国医師会が提案した提言書に対して、若手医師の視点から貢献する。例えば、2015年のWMAモスクワ総会で採択された「医師の安寧に関する世界医師会声明」は、JDNが起草し、各国医師会の指導を受けて形になったものである。
 このようなアドボカシー活動を行う準備として、講師を招いて勉強し、独自の調査を試みることもある。これらの一連の実践を通して、若手医師はアドボケーターとしてトレーニングされる。JDNを引退した医師は各国医師会での役割を担うことも多い。

日本での活動は?

 2012年10月に国際保健検討委員会の下に「日本医師会ジュニアドクターズネットワーク(Japan Medical Association Junior Doctors Network:JMA―JDN)」が設立された。
 原則として卒後10年以下の若手医師で構成され、日医の温かいご支援を得て、若手が主体性をもって運営するネットワークである。21名で始まったJMA―JDNも、現在は全国250名ほどのネットワークに広がっている。
 JMA―JDNの活動は、日本の若手医師が直面している医師の働き方やキャリア形成といった身近な話題から、医療を広い視野で検討するような、持続可能な地域医療の在り方やUniversal Health Coverage(UHC)等のテーマまで勉強会を行う。一部のメンバーは、医師の働き方改革やUHCに関して調査と提言に関わった。
 これらの活動を通して、JMA―JDNは若手医師が「幅広い視野を持って社会に貢献できる医師」になれるよう、公衆衛生活動の実践を行うプラットフォームを提供している。
 世界医師会JDNの中でも、JMA―JDNは若手医師が自国医師会の中で組織的な活動を継続していることを高く評価され、2015年以降世界医師会JDNの役員を輩出し続けている。

医師会活動と若手医師

 国内でも少しずつJMA―JDNに期待を寄せて頂くことも多くなってきた。しかし、JMA―JDNは発展途上にある。
 P・F・ドラッカーが述べているように、JMA―JDNのような市民社会組織の本質は、一人ひとりが社会の中で自分の役割と居場所を持てるように促すことにある。臨床や研究、教育の傍らで社会課題に取り組みたいと思っている全国の若手医師が、JMA―JDN等の医師会活動に参画して役割と居場所を持てることが理想である。
 例えば、北海道医師会では新たに勤務医部会に若手医師専門委員会を設立した。道内の若手医師や医学生が主体的に自らの問題意識を基にテーマを設定し、定期的にセミナーを開催するようになった。2017年10月には、北海道医師会が開催する勤務医交流会を主催し、企画運営にも携わった。
 決して最初から北海道医師会に活発な若手医師や医学生が多かったわけではない。当初は、通常の会議方法やイベント形式であっても、集合した若手はすっかりかしこまり、緊張感のある雰囲気であった。
 しかし、その後、役員の先生や事務の方々のご支援を賜りながら、数年間かけて若手も参加しやすく、カフェで話すような和やかな雰囲気を共につくり上げてきた。
 その過程の初期に、JMA―JDNは北海道で社会課題に取り組んでいる若手医師や医学生に声を掛け、イベントの企画を手伝った。
 どの地域でも必ず社会課題に取り組んでいる若手医師や医学生がいて、潜在的なネットワークを築いている。諸先輩方が地域の医師会活動に身を投じているように、若手医師にとっても、地域の中で主体的に考え、企画運営等で役割を担う機会を得ることにより、多くを学ぶことができる。
 そうした中でやりがいを感じることは、医師会の持続可能性や組織力の向上につながると考える。
 JMA―JDNは、世界医師会JDNに対応して、日本全国でさまざまな社会課題に関心を寄せている若手医師の声を聴き、その活動をサポートする場である。この場を設けて頂いた日医と全国医師会の皆様に心より感謝申し上げるとともに、引き続きのご支援とご指導を賜れれば幸いである。
◆問い合わせ先:日医国際課

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