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平成30年(2018年)11月20日(火) / 日医ニュース

働き方改革と医療プロフェッショナリズム

勤務医のひろば

働き方改革と医療プロフェッショナリズム

働き方改革と医療プロフェッショナリズム

 医師の働き方改革は、実にさまざまな問題を孕(はら)んでいる。
 例えば、昼夜を分かたず搬送される重症外傷や脳血管障害などに少ない人数で対応している診療科にとっては、労働基準法36条に基づく労使協定(36協定)という現実が大きく立ちはだかってくる。診療を制限するか、医師数を増やせば解決できるであろうが、いずれもそうは容易(たやす)くない。
 タスク・シフティング、シェアリング、シフト制などなど議論はなされているが、果たして特効薬となるであろうか。
 研修医や専攻医教育においても切実である。自己研鑽(けんさん)と労働の線引きが曖昧(あいまい)であるので、自己研鑽に重きをおけばブラックとされ、労働に重きを置けば36協定が障壁となる。線引きを誤れば、貴重な研修・経験の機会を奪いかねない。実に悩ましい。
 ところで、医学教育において重要なテーマの一つに医療プロフェッショナリズムがある。プロフェス(公約する)に語源を持つプロフェッション(専門職集団)である医師の心構え、行動様式や倫理観の教育である。
 ちなみに、臨床研修の基本理念にも「医師としての人格を涵養(かんよう)し、(中略)医学及び医療の果たすべき社会的役割を認識しつつ(後略)」と謳(うた)われている。
 読者の多くは、このプロフェッショナリズムを実際の現場体験を通して醸成してきたのではなかろうか。例えば、寝食を忘れて常に患者に寄り添った先輩、医療過疎地に身を投じた同僚などなど、献身的かつ利他的な医師の姿をロールモデルにして。
 さて筆者が危惧するのは、働き方改革の研修医や専攻医教育への影響である。とりわけ医療プロフェッショナリズムの後退である。確かに医師も労働者である。しかし、プロフェッションであって単なる職業専門職ではない、と筆者は信じている。

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