厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会と薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会合同会議が10月1日、厚生労働省で開催され、日本医師会からは宮川政昭常任理事が出席した。
当日は、HPVワクチンの積極的勧奨の再開の可否に関する議論が行われ、大きな方向性として積極的勧奨を妨げる要素は無いことを確認した。
HPVワクチンについては、2013年4月に原則無料の定期接種となったが、その前後から接種者から多様な症状を訴える声が相次いだ。
そのため、厚労省は、同年6月、定期接種の位置付けを維持しつつも、積極的勧奨を差し控える通知を発出していた。
日本のこの状況については、WHOから懸念する声が出されていた他、「HPVワクチンの積極的勧奨再開を目指す議員連盟」(会長:細田博之衆議院議員、事務局長:自見はなこ参議院議員)から政府に対して、速やかな再開を求める要望書が8月30日に提出されるなど、積極的な勧奨再開を求める意見が多く出されていた。
合同会議の中で、厚労省はHPVワクチン接種と、接種後に生じた症状との関連について、国内外でこれまで調査が行われているが、その関連性は明らかになっていないことや、接種によるHPVの感染と子宮頸部の高度異形成の予防効果を示した他、ワクチンの有効性は10年以上の長期間持続することを示唆する結果や、海外の大規模調査において、子宮頸がんの予防効果も示されていることなども説明した。
その後の意見交換では、委員から接種者が増加した場合に備え、接種後に症状が生じた人が受診する協力医療機関を更に整備する必要性や、リーフレット以外の方法による啓発、接種対象であったが接種を控えていた人達への接種機会の確保を求める要望も出された。
宮川常任理事は、国民が納得できる形で接種を推進していく観点から、学校を含む地域での支援体制、協力医療機関の数、質の保持・向上など、どのような体制を整備していくのかを具体的に示すよう求めた他、学校医との連携の必要性についても指摘した。
更に、情報提供については、現在も定期接種の対象として勧奨はなされている状況下で「積極的な勧奨」を再開することが、誤ったメッセージとして国民に伝わらないよう、表現について慎重に検討することを求めた。
今後は、今回の議論を踏まえ、合同会議としての意見を取りまとめた事務局案について再度議論した上で、その結果を予防接種・ワクチン分科会に諮る見通しとなっている。