厚生労働省予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会と薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の合同会議が11月12日、宮川政昭常任理事出席の下、厚労省で開催され、HPVワクチンの積極的勧奨を再開することを了承した(厚労省は後日に来年4月からの再開を決定し、11月26日付で通知を発出した)。
前回の合同会議では、大きな方向性として、「積極的勧奨の再開を妨げる要素はない」としていたが、HPVワクチンの接種を進めるに当たり必要となる事項について、種々の意見が出されたことを受けて、事務局よりその対応が示された。
その中では、最新の情報として、イギリスにおいて子宮頸がん発生の減少にワクチン接種が寄与しているとのエビデンスが示されていることなどが説明され、議論の結果、「HPVワクチンの定期接種の積極的な勧奨を差し控えている状態を終了させることが妥当である」とした上で、今後も新たなエビデンスを収集しながら安全性を評価していく方針を決定した。
議論の中で、宮川常任理事は、現時点においても定期接種として接種の普及に地域で取り組んでいる接種医は主に小児・婦人科(へき地では内科)が中心となっているが、情報提供は幅広く行うべきであると主張した。
また、厚労科学研究班(祖父江研究班)から、多様な症状はワクチン非接種群においても見られるとの報告がなされたことを踏まえ、ワクチン接種の有無にかかわらず同症状に対する診療体制を整備する必要性を指摘するとともに、個々の事例を丁寧に拾い上げていくことの重要性について意見を述べた。
今回の決定を受けて、11月15日に開催された厚労省予防接種・ワクチン分科会では、HPVワクチンの積極的勧奨の差し控えにより接種機会を逃した人へのキャッチアップ接種を実施する方針を了承。今後はその対象者や実施期間、対象者への周知・勧奨方法などについて、引き続き検討していくことになった。
これらの決定に対して、各団体からは、これを支持する声明が相次いで出された。
日本産婦人科学会は「エビデンスの整理とともに、接種後に生じた症状に苦しんでおられる方々への支援策も含め、これらの問題を解決しながら、HPVワクチン接種体制を更に充実させ、国民のワクチンへのご理解が得られるように関係者一同、努力して参る」との見解を表明。自民党の「HPVワクチンの積極的勧奨再開を目指す議員連盟」(会長:細田博之衆議院議員、事務局長:自見はなこ参議院議員)からは、「今回の決定を大いに歓迎する」とした上で、今後はHPVワクチンの9価ワクチンの定期接種化や男性も定期接種の対象とすることにも尽力していくとの考えが示された。