日本医師会定例記者会見 3月9・16日
釜萢敏常任理事は4月1日からHPVワクチンの積極的勧奨が再開されることを受け、会内の予防接種・感染症危機管理対策委員会が、「HPVワクチン積極的勧奨再開にあたっての提言」を取りまとめたことを公表するとともに、その内容を説明した。
同提言では積極的勧奨の再開決定を歓迎するとした上で、再開までの8年の空白で、世界的な低下に反して子宮頸がんの発生率・死亡率が高まっているわが国の現状を踏まえ、その最大の予防手段である同ワクチン接種のキャッチアップも含めた早期完全実施を求めるものとなっている。
また、これまでの経緯を踏まえた安全接種体制の確立と事後サポートの充実や、より高い効果と対象の拡大が可能な9価ワクチンへの早期転換も必要としている他、具体的な提言として、別掲の5項目を挙げている。
同常任理事は同提言について、「HPVワクチンの接種が国民にしっかり受け入れられ、幅広く実施されるようにして欲しいとの願いが込められている」と述べるとともに、日本医師会としても、国民にとってどういった対応が一番適切で、多くの人に受け入れられるかという観点から全力で取り組んできたことを説明した。
その上で、これまで日本医学会とのシンポジウムや公開フォーラム等で議論を深めてきたことや、各地でさまざまな取り組みが行われていることを挙げ、こうした積み重ねの結果、昨年11月の厚生労働省健康局長通知によって積極的勧奨の再開決定に至ったと報告。今後、日本医師会が一番に取り組まなければならないことは、定期接種に直接携わる医師はもとより、接種には携わらない医師も共に、接種を受けた後の患者もしくは相談者からの訴えをしっかり受け止めて寄り添えるようにするために必要な情報を、その都度アップデートしてしっかりと伝えていくことに尽きるとした。
また、8年の空白期間に接種機会を逃した人のキャッチアップについても重要性を強調した他、厚労省で作成されている各種リーフレットは最新の情報が盛り込まれており、大変優れているとして、その活用を呼び掛けた。
更に同常任理事は今後について、「HPVワクチンがわが国においても安心して接種してもらえる体制と、接種後に体調の変化が起こった場合に相談できる体制をしっかり確立することが日本医師会としての責務だと思っている」と述べ、引き続き取り組んでいく姿勢を示した。
提言項目 |
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1.HPVワクチン積極的勧奨再開を歓迎し、その実施推進へ全国的に協力すること。 2.これまでの経緯を踏まえ、その安全実施体制と事後サポートを強化すること。 3.この間接種出来なかった世代へのキャッチアップと未完了者の補完をすること。 4.ワクチン及びその後も重要ながん検診の重要性について啓発を強化すること。 5.世界標準となってきている9価ワクチンを男女とも早期に定期接種とすること。 |
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