令和4年(2022年)6月20日(月) / 日医ニュース
「コロナ禍での勤務医の働く環境課題の整理と、今後のポストコロナ・ウィズコロナ時代を見据えた勤務医の働き方改革」などをテーマに
令和4年度都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会
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令和4年度都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会が5月27日、テレビ会議システムを用いて開催された。
会長あいさつ
協議会は担当の橋本省常任理事の司会で開会。冒頭あいさつした中川俊男会長は、勤務医の(1)働き方改革、(2)意見集約―について言及。
(1)に関しては、本年4月に日本医師会が「医療機関勤務環境評価センター」の指定を受けたことに触れた上で、今後もコロナの感染状況を踏まえながら、医師の健康への配慮と地域医療の継続性の両立を図るべく、取り組んでいく考えを示した。
また、(2)に関しては、勤務委員会が取りまとめた答申の中で「勤務医の意見・要望は必ずしも方向性を同じくするものではないため、多くの意見を汲み取る仕組みが日本医師会には必要である」と提言されていることを紹介し、「本提言を真摯(しんし)に受け止め、引き続き、さまざまな勤務医の先生方の意見等を幅広く伺っていきたい」とした。
全国医師会勤務医部会連絡協議会について
令和3年度全国医師会勤務医部会連絡協議会については、まず、担当医師会の上田朋宏日本医師会勤務医委員会委員/京都府医師会理事が、昨年10月にオンライン形式で開催し、その成果を「京都宣言」として取りまとめたことなどを報告(詳細は別記事参照)。「医師会は会員数だけでなく、質の問題も非常に重要である。そのためにも医師の代表として、医師会には勤務医と共に歩んでいくという覚悟が必要だ」と改めて強調した。
令和4年度の協議会については、浦田士郎愛知県医師会理事が「医療新時代を切り開く勤務医の矜持~コロナを克(こ)えて~」をメインテーマとして、10月15日(土)に名古屋市内で開催予定であることを説明。全国から多くの先生方が集まり、活発な議論が行われることに期待感を示した。
協議
協議では、まず、若林久男日本医師会勤務医委員会委員/香川県医師会副会長が「コロナ禍での勤務医の働く環境課題の整理と、今後のポストコロナ・ウィズコロナ時代を見据えた勤務医の働き方改革」と題して講演した。
若林委員は、コロナの感染が拡大し始めた当初を振り返り、未知のウイルスであったために治療法も分からず、医療資源や情報も不足するといった状況に直面する中で、さまざまな情報をかき集めながら、ハード、ソフトの両面から医療提供体制を何とか形づくってきたこと等を説明。
今後、医師の働き方改革にも関係してくる課題としては、(1)コロナ禍でつくり上げた連携システムをいかに活用していくか、(2)コロナ禍でより浮き彫りになった医師の地域・専門性の偏在の解消、(3)急速に進んだITの活用の更なる推進、(4)特に地方における患者数の減少への対応―等が挙げられるとした。
その後の意見交換では、コロナ禍における医療現場の実態や非常時の医療提供体制をどう確保するのかといった問題に関して、活発な議論が行われた。
引き続き、渡辺憲日本医師会勤務医委員会委員長/鳥取県医師会長が「全国における勤務医の意見集約に望まれること~全国8医師会ブロックにおける議論の活性化への提言~」と題して講演を行った。
渡辺委員長は、日本医師会員のうち勤務医の占める割合は50・4%(令和3年11月1日現在)、都道府県医師会においても勤務医の占める割合が60%を超える医師会が12となる一方で、都道府県・郡市区医師会等の勤務医委員会における意見、提言が日本医師会の医療政策につながりにくい状況にあることを問題視。その解決策として、(1)勤務医といってもさまざまな立場の医師がおり、意見も一様でないことも少なくないことから、勤務医委員会の委員構成を工夫する、(2)北海道医師会のように若手勤務医の小委員会を勤務医委員会の下に設置する、(3)全国8医師会ブロックに勤務医や勤務医を取り巻く医療環境の課題を継続的に協議する役割を担ってもらう、(4)現在の日本医師会の勤務医委員会に各ブロックの議論を当該ブロック推薦の委員を通じて持ち寄ってもらい、総合的に協議を行うことで、各地域における勤務医の意見を幅広く集約して、迅速に日本医師会につなぐ役割を担ってもらう―などを提案した。
その後の意見交換では、今回の提言について「医師の働き方改革などの大きな課題がある中で、ぜひ、その内容を実現して欲しい」といった賛同の意見が多く出された他、日本医師会代議員への勤務医の登用促進を求める意見等もあった。