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令和5年(2023年)2月20日(月) / 日医ニュース

地域の一体化

勤務医のひろば

地域の一体化

地域の一体化

 2005年に当院に外科医長として赴任。臨床、教育、病院運営と働き、気が付けば院長となり、もうすぐ退官である。それまでも大学以外はほぼ栃木県で勤務してきたため、一つの県で研修医から管理職まで経験することができた。
 市や県の会議にも参加し、行政や主要病院幹部との連携も密になって、医療を取り巻く環境の重要性を感じるようになった。研修医の頃は意識したことはなかったが、今は現場がもう少し理解してくれたらと思っている。
 医療の世界にも多くの変化があり、ガイドライン、専門医制度、機能評価、地域包括ケアシステムなどが導入され、働き方改革と地域医療構想が進行中である。
 時代の流れとしての進化と少子高齢化対策の部分があり、明確に線を引くことは難しいが、医師の仕事は明らかに軽減され、安全性、効率も高くなっている。宇都宮市では現場と行政が連携し、訪問診療による在宅医療も活気付いて、病診・病病連携も良好になってきた。大きな混乱もなく、2025年を迎えられる印象である。
 これらの背景があったおかげか、コロナ診療では第3波を過ぎた頃から、地域が一つの医療機関のように機能するようになった。重症を診る病院、軽症を診る医療機関、当院は多くの中等症を受け入れ、患者の流れを調整した。
 2040年に向け、宇都宮市では高齢化は進むものの、人口はあまり減らない。コロナ以外の急性期疾患から在宅まで、広い分野で地域が一体となれば、少子高齢化社会を支えていくことができる。地域医療構想の有機的な活用が期待される。
 やがては世話をされる側になるわけであるから、地域医療を推進することは将来の自分や子孫のためにもなる。2025年に向けてしてきたこと、良かったことを振り返って、もう少し前進したいと思う。

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