勤務医のひろば
当院は本州最北端、初競りで有名な「大間まぐろ」が揚がる青森県大間町にあり、隣接する風間浦村・佐井村と合わせ約8200人の医療圏である。
当院の夜間休日は医師1名で全科当直しているが、相方は看護師のみであるため、採血したら自分で遠心に掛け、機械にセッティングし、結果が出たら電子カルテに送信する。CTも医師がポジショニングし、範囲を設定し撮影する。
これを聞くと「医師の業務過多なブラック病院」と思われるかも知れないが、当院常勤医は月2回以上の週末フリーを実現、2023年3月には宿直許可も取得できた。常勤医師6名全員が上記業務を覚え、こなしてくれている。
看護局の理解があるのもうれしい。青森県は飲酒量が多いためアルコール性肝硬変も多く、難治性腹水に悩んでいる患者が少なくなかった。私が赴任した時、当院ではCART(腹水濾過濃縮再静注法)を行っていなかったが、病棟師長に有用性を説明したところ、「よし、うちでもやりましょう」と言ってくれた。勉強会を開き、提案から1カ月後には1例目の施行ができたのは、向上心ある看護師達がいてくれたからこそである。
事務局の動きも良い。画像を他院と共有できるアプリ「Join」が保険診療へ運用開始されたのは2016年であるが、事務長に「こんなのがあるんですよ」と相談したところ、「よし、うちとむつ総合病院との連携に使いましょう」と、最寄り(と言っても車で1時間)の高次医療機関との連携も含めて進めてくれ、2019年に導入となった。運用を開始した初年から70例で活用され、昨年度は100例を超えて活用された。
「人材は宝なり」とよく言われる。医療は日々変化しており、その変化に対応していけるうちのスタッフを、今後も大事にしていきたい。