勤務医のページ
今号では、5月24日、テレビ会議システムを用いて、日本医師会館で開催された令和5年度都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会の模様を紹介する。 |
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協議会は今村英仁常任理事の司会で開会。冒頭あいさつした松本吉郎会長は、会長就任以来、「医師会組織強化」を最重要課題の一つとして会務に取り組んできたことを述べた上で、今年度より実施している医学部卒後5年目までの会費減免について、多くの都道府県及び郡市区等医師会でも同様の取り組みが実施されていることに謝意を表明。「会費減免終了後も医師会に定着する流れをつくるためにも、郡市区等並びに都道府県医師会と日本医師会が一丸となって取り組むことが不可欠」とし、引き続きの協力を求めた。
また、「医師の働き方改革」については、「勤務医を過重労働から守りつつ、地域医療提供体制への影響のバランスを取ることが必要となるが、現在進められている改革は医療の質の担保という観点が少し軽視されている」として懸念を示し、医療の質を落とさずに改革を進める重要性を強調した。
続いて、令和4年度全国医師会勤務医部会連絡協議会については、浦田士郎愛知県医師会理事が、令和4年10月15日に名古屋市内において対面で開催し、新型コロナウイルス感染症の蔓延を経て、日本の医療提供体制の潜在的脆弱(ぜいじゃく)性が露呈したとの認識の下、シンポジウム並びに議論を行い、その成果を「愛知宣言」として取りまとめたことなどを報告した。
また、令和5年度の同協議会については、樋口毅青森県医師会常任理事が「2024年、変わる勤務医、輝く勤務医」をメインテーマとして、10月7日に青森市内で開催することを説明。健康・医療ビッグデータの活用といった話題に加え、第8次医療計画、新興感染症、救急救命等の課題について、活発な議論が行われることに期待感を示した。
協議では、まず、今村常任理事が「医師会の組織強化に向けて」と題して講演。
同常任理事は、冒頭、日本医師会の組織率の現況等を説明し、会費減免の対象となる医学部卒後5年目までの期間における働き掛けが重要になるとの認識を示した。
また、日本医師会の果たしている重要な役割として、郡市区等及び都道府県医師会からの要望を吸い上げ、国に伝え、政策に反映されるよう働き掛けることがあると強調。その上で、地域に根差して診療している会員の活動一つ一つがまさに医師会活動そのものであるとし、多くの医師が日頃から地域住民の健康を守るために活動していることを広報する重要性を指摘した。
次に、城守国斗常任理事が「医師の働き方改革」について講演。令和4年4月に、厚生労働省より日本医師会が「医療機関勤務環境評価センター」(以下、評価センター)に指定されて以降の評価受審の受付状況や、審査申し込みの際の注意点などについて解説した。
その中で、同常任理事は、①令和6年4月以降、医師労働時間短縮計画(時短計画)は毎年都道府県に提出する②書類作成の不備を避けるため、医師労働時間計画の作成に当たっては「医療勤務環境改善支援センター」(勤改センター)の助言を受ける③C―2水準の指定を受けるには厚労省の委託を受けた「審査組織」に受審申請する④宿日直許可を受けているか否かに応じた労働時間管理を行う―ことが必要と強調した。
また、従来の労働安全衛生法によるものに比べ、改正医療法に基づく面接指導(追加的健康確保措置)は実施要件が厳しくなることや、令和6年4月までに水準適用を受けるためには今年10月までには受審申請して欲しいことなどを説明した他、令和4年10月に公開された「医療機関の医師の労働時間短縮の取組の評価に関するガイドライン(評価項目と評価基準)解説集」について、医療機関からの問い合わせやこれまで医療機関から提出された自己評価シートの内容を踏まえ、5月19日に「要約版」を評価センターのホームページに公開したことを報告。その活用を促すとともに、円滑な受審のためには、できるだけ間違いの少ない資料の提出が重要になることを強調した。
各講演後のディスカッションで日本医師会の組織率向上のための具体的施策について問われた今村常任理事は、医学生に対するアプローチに関して、大学との関係を強化していくことが重要との認識を示した上で、現在、松本会長の指示の下、日本医師会の常勤役員が所属都道府県医師会管内の大学医学部等に出向き、日本医師会との関係強化に努めていることを紹介。日本医師会の考え方や活動の意義を直接説明する中で、入会促進に向けた協力依頼を行っていること等を報告した。
また、医師の働き方改革に関し、これまでの受審申請とその評価に関する情報が、評価センターと勤改センターの間でどの程度共有できているのか問われた城守常任理事は、全国の勤改センターを対象とした説明会を開催していることを報告。また、評価実績が積み上がるに従い、サーベイヤーの評価軸も定まってきているとして、今後も厚労省と調整・相談を重ねながら、評価業務を継続していく意向を示した。