釜萢敏常任理事は昨年12月14日、石渡勇日本産婦人科医会長、加藤聖子日本産科婦人科学会理事長と共に厚生労働省を訪れ、武見敬三厚労大臣に「子宮頸がん排除への施策に関する要望書」を手交した。
要望書は石渡日本産婦人科医会長、加藤日本産科婦人科学会理事長、松本吉郎会長の三者連名により取りまとめられたものとなっている。
その中では、HPVワクチン接種を推進するために、(1)キャッチアップ接種の更なる推進、(2)男性への接種の推進―を要望。具体的には、(1)では「キャッチアップ接種周知のための施策の充実」「今後の接種状況を踏まえ、必要に応じたキャッチアップ実施期間の延長」「就学、就職等により住民票所在地外に居住されている方への手続き上の配慮」を、(2)では「4価HPVワクチンの男性への定期接種化の速やかな検討」「9価ワクチンの男性への適応追加の承認申請があった場合の迅速な審査」を、それぞれ求めている。
当日の会談の中で、石渡日本産婦人科医会長は、日本において、子宮頸がんの患者数が増え続けており、その要因として、HPVワクチンの接種が進んでいないこと、子宮頸がん検診受診率が低いことが考えられること等を説明。加藤日本産科婦人科学会理事長は、就学、就職等で居住地を変えていても住民票を移していない人もいるとして、手続き上の配慮を要請した。
また、釜萢常任理事は、「接種率が上がらない要因として、国民の中にキャッチアップ接種が可能なことを知らない人が多いことが考えられる。その周知に努め、何とか接種率を上げたい」として、理解と協力を求めた。
これに対して、武見厚労大臣はキャッチアップ接種について、「厚労省として通知を改めて発出するなど、その周知に努めていきたい」とした他、9価ワクチンの男性への適応追加に関しては、「現在治験中であるためすぐには難しいが、その接種が男性にも必要なことは世界の趨勢(すうせい)となっており、結果が出れば速やかに対応していきたい」と述べるなど、一定の理解を示した。
また、武見厚労大臣は「こういった問題はぜひ、医師会や医会が自治体と協力して、進めて欲しい」として、引き続きの協力を求めた。