勤務医のひろば
当院は、地域包括ケアを理念に掲げる63床の小規模病院である。医療・介護の複合ニーズを持った超高齢者が増え、回復期から慢性期、在宅医療の需要の高まりを感じている。
香川県医師会では、介護保険、在宅医療、認知症、プライマリケア、男女共同参画などを担当している。
現在取り組んでいることは、総合診療の推進である。県内の勤務医は、総合的な視点を持った医師が多いと認識していたが、世代交代の時期を迎えている。臓器別専門医はもちろん必要であるが、地域では「何でも相談できる医師」が求められている。
そこで、「かがわ総合診療研究会」を大学、県、総合診療専門医研修プログラム施設などに呼び掛けて立ち上げ、昨年3月から3カ月毎に開催しているが、学生から開業医まで幅広い参加者がある。
もう一つは、「香川県地域包括ケアシステム学会」である。情報共有や職種間の相互理解が不十分と感じたことをきっかけとして始めたものであるが、医療介護関係団体の他、大学、四国厚生支局、経済産業局なども参画している。
学術集会は、大会長を各団体持ち回りとし、昨年度は香川大学長、今年度は看護協会長であった。各団体がそれぞれの特徴を生かした企画は好評である。部会では昨年度、通いの場を専門職が支援する際に活用できる講演資料と動画を多職種で制作し、ホームページに公開した。
医師会には、さまざまな情報が集まり、行政・各種団体・地域住民と連携して多くの事業が行われている。普段の診療では味わえないネットワークづくりができ、地域に貢献できる。郡市区医師会であれば、更に身近で現場に即したものになる。勤務医もこれらの活動に加わることで、自らの役割を再認識できると考えている。