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令和6年(2024年)6月20日(木) / 日医ニュース

「大規模災害時の対応」「若手医師の期待に応える医師会」をテーマに活発な討議

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「大規模災害時の対応」「若手医師の期待に応える医師会」をテーマに活発な討議

「大規模災害時の対応」「若手医師の期待に応える医師会」をテーマに活発な討議

 令和6年度都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会が5月17日、日本医師会館小講堂でテレビ会議システムを併用して開催された。

 協議会は今村英仁常任理事の司会で開会。冒頭あいさつした松本吉郎会長は、現在、全医師数に占める勤務医の割合が7割超になっていることに触れ、「大規模災害発生時における被災地の医療活動は勤務医なしには成り立たない」とするとともに、今後、自身が住む地域が被災地になる、あるいは被災地域に日本医師会災害医療チーム(以下、JMAT)等の災害派遣チームの一員として赴く等、さまざまなケースが想定されるとした上で、参加者から忌憚(きたん)のない意見を求めたいとした。
 また、研修医・若手医師には早い段階で医師会に入会、活動に参画してもらうことが、今後の医師会活動を持続可能なものとするためにも必要になると強調。その実現のためにも、医師会が若手医師の意見を傾聴し、意見を会務に反映させる必要性があると指摘し、本協議会においても活発な意見交換が行われることに期待感を示した。
 続いて、令和5年度全国医師会勤務医部会連絡協議会について、樋口毅青森県医師会常任理事より、令和5年10月7日に青森市内において開催し、「医師の働き方改革」の実施を控え、勤務医のより良い労働環境と、平時から新興感染症を見据えた医療計画の構築という観点の下にシンポジウム及び議論が行われ、その成果を「あおもり宣言」として取りまとめたことなどが報告された。
 また、令和6年度の同協議会については、一宮仁福岡県医師会副会長が、「勤務医の声を医師会へ、そして国へ~医師会の組織力が医療を守る~」をメインテーマに、10月26日に福岡市内で開催予定であることを説明。医師会の更なる組織強化及び勤務医の意見集約を進めるため、講演並びにシンポジウムを実施すること等を紹介した。
 協議では、まず、細川秀一常任理事が「大規模災害と勤務医」と題して講演した。
 冒頭、医師会による災害対応について、災害発生前の備えから始まり、急性期、収束期、更には地域医療の復旧までの長期にわたるものであることを指摘。
 その上で、令和6年1月1日に発生した能登半島地震において、JMATが担ってきた役割や活動内容、並びに実績について説明し、都道府県及び郡市区等医師会はもちろん、関係学会との平時からの顔の見えるつながりが、被災地での活動には非常に有益になるとの認識を示した上で、今後、発生することが予想される大規模災害に向けた課題と対応について説明した。
 その後に行われたディスカッションでは、(1)勤務医のJMAT参加を募るには医師会と病院との関係を日頃からつくっておく、(2)各JMATの機能や役割を明確化するとともに、統括機能を強化する、(3)JMATの認知度を向上させる―ことが必要になるとされた。
 続いて、今村常任理事が「若手医師の期待に応える医師会の姿」と題して講演した。
 まず、未来医師会ビジョン委員会の活動内容と歴史的経緯について概説。その上で、5月11日に松本会長に提出された「第六次未来医師会ビジョン委員会」の答申について、(1)日本医師会の歴史と未来医師会ビジョン委員会、(2)若手医師が期待するもの、(3)若手医師の期待に応える活動を続けるためには何が必要なのか、(4)若手医師の期待に応えること、医師会組織強化、日本の医療体制強靭(きょうじん)化の三つは同義である、(5)若手医師や国民に向けた新時代の医師会広報のあり方―の項目ごとに、その内容を説明した。
 (1)では、日本医師会の歴史を踏まえることの重要性を強調し、何らかの形でその歴史に気軽にアクセスできる仕組みづくりを求めるとともに、(2)では、若手医師、勤務医の特徴を列挙した上で、①医師会からの正確で安全な情報発信、医療経営等を学べるサポート事業提供②若手医師の意見を医療政策に反映させる③研修医の医師会入会率100%を目指すこと―などが提言されているとした。
 また、(3)では、海外留学制度の提供等、キャリア支援体制の充実の他、AIテクノロジーの発展に並走したルールづくりの重要性が指摘されているとした。
 その他、(4)では、「若手医師の期待に応えること」「医師会組織強化」「日本の医療体制強靭化」の3点は同義であるとした上で、全国の勤務医のための「医局機能」を日本医師会が担うなどして勤務医を会員に取り込むとともに、人口減少局面に入ったわが国の今後の医療政策の決定に関し、「医師会こそがその原動力になる」とその必要性が強調されていること、(5)では、若手医師はもちろん、国民に向けた新時代の広報のあり方として、既存の手段を生かしつつ、ユーザー層に合わせたSNSの更なる活用や、若手医師の興味に合わせたコンテンツの多様化が提案されていることを紹介した。
 その後の議論の中では、会費が無料となる医学部卒後5年間を生かす必要性が強調されるとともに、①若手医師が早い段階から医政に興味を持ち、関われる場を設ける②若手医師が郡市区及び都道府県医師会、あるいはブロックの会議等、参画できる場を広げる③大学医師会における勤務医の入会率を上げる―必要性などが指摘された。
 総括した猪口雄二副会長は、勤務医委員会で行われた議論や提案を、各地の病院の勤務医がどのように受け止めるか、そして、地域の医師会がどのように受け入れ、それぞれ生かしていけるかが今後の課題との認識を示し、協議会は終了となった。

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