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令和7年(2025年)4月5日(土) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

賃金・物価の上昇に応じて適切に対応する新たな仕組みの導入等を求める合同声明を公表

賃金・物価の上昇に応じて適切に対応する新たな仕組みの導入等を求める合同声明を公表

賃金・物価の上昇に応じて適切に対応する新たな仕組みの導入等を求める合同声明を公表

 日本医師会は3月12日、六つの病院団体との合同記者会見を日本医師会館大講堂で開催。「『高齢化の伸びの範囲内に抑制する』という社会保障予算の目安対応の廃止」「診療報酬等について、賃金・物価の上昇に応じて適切に対応する新たな仕組みの導入」の2点を求める合同声明(下掲)を公表し、本声明をもって、病院団体を始めとする医療界が一体・一丸となって、政府・与党に対して働き掛けていく姿勢を示した。

 当日の記者会見には松本吉郎会長の他、日本病院会から岡俊明副会長、全日本病院協会から猪口雄二会長、日本医療法人協会から太田圭洋副会長、日本精神科病院協会から平川淳一副会長、日本慢性期医療協会から池端幸彦副会長、全国自治体病院協議会から野村幸博副会長と、川原経営総合センターの川原丈貴代表取締役社長が出席した。

医療界が一致団結し、医療機関の窮状を訴えていく ―松本会長

 冒頭あいさつした松本会長は、医療機関を取り巻く現状について、現在、令和6年度補正予算で医療施設等経営強化緊急支援事業が実施され、「生産性向上・職場環境整備等支援事業」「病床数適正化支援事業」「産科・小児科医療確保事業」に関して、都道府県による医療機関への支援が動き出しているが、「昨今の急激な物価高騰と人件費上昇への対応には、到底追い付いていない」と指摘。その解決策として「公定価格により運営する医療機関等は価格に転嫁できないことから、物価・賃金の上昇に適切に対応する診療報酬の仕組みとするとともに、これまで幾度となく主張しているとおり、社会保障予算に関しての財政フレームの見直しが不可欠だ」と主張した。
 その上で、今後については「これまで定例記者会見等を通じて、『地域医療が崩壊しかねないまさに危機的な状況にある』と繰り返し訴えてきたが、今回の合同記者会見を機に医療界が一致団結して、国民に著しくひっ迫した医療機関の状況を改めて切実に訴えていきたい」と述べた。
 病院団体からは、まず猪口全日病会長が、今回の緊急調査を実施するに至った経緯を紹介。「このような調査としては初めて全自病にも参加して頂いた」とした上で、合同声明に関しては日本医師会と共に取りまとめたものであり、医療界が一丸となって対応していることを表すものであると強調した。
 野村全自病副会長は、緊急調査に参加した理由について「現在、民間、公的問わず大変厳しい状況であり、一病院の努力では改善することはできないと考えたからだ」と説明。また、公的病院固有の特徴として、人事院勧告に従う必要があるために、経営状況にかかわらずそれに沿って給与を引き上げなければならない現状があることも紹介した。

「ある日、突然病院が無くなる」と現状を危惧(きぐ) ―太田医法協副会長

 太田医法協副会長は、まず、病院の経営が危機的な状況にあり、地域医療も崩壊寸前であることを指摘。病院を取り巻く環境・現状として、(1)診療報酬は公定価格であるが、物価・賃金の上昇に対応して上がっていない、(2)その結果、多くの病院は深刻な経営難に陥っている、(3)医療・介護に従事する数多くのスタッフの賃金を他産業と同じように引き上げることが難しく、人材が流出している、(4)物価・賃金の上昇に適切に対応した診療報酬の仕組みが必要になっている―ことを説明し、「このままではある日突然、病院が無くなる」と強い危機感を示した。
 続いて、緊急調査「2024年度診療報酬改定後の病院経営状況」の結果概要を紹介。そのポイントとして、①2024年度診療報酬改定後、病床利用率は上昇傾向にあるものの、医業利益率、経常利益率は危機的だった2023年度よりも更に悪化傾向が認められた②医業利益の赤字病院割合は69%まで増加、経常利益の赤字病院割合は61%まで増加した③2023年度WAM(福祉医療機構)データの債務償還年数の分析では、半数の病院が破綻懸念先と判断される30年を超えていた―ことを挙げた上で、改めて「病院経営は危機的状況であり、病院の診療報酬について、物価・賃金の上昇に適切に対応できる仕組みが必要」と述べるとともに、そのためには、松本会長と同様に、社会保障予算に関しての財政フレームの見直しを行い、「社会保障関係費の伸びを高齢化の伸びの範囲内に抑制する」という取り扱いを見直す必要があるとの見方を示した(調査結果の詳細は別掲参照)。
 当日は、こうした状況を踏まえ、日本医師会と今回の会見に参加した6病院団体の統一した意見として取りまとめた合同声明も公表した。
 その中では、(1)「高齢化の伸びの範囲内に抑制する」という社会保障予算の目安対応の廃止、(2)診療報酬等について、賃金・物価の上昇に応じて適切に対応する新たな仕組みの導入―の2点の実現を要望。具体的な対応については(1)では、賃金上昇と物価高騰等を踏まえ、財政フレームを見直して目安対応を廃止し、別次元の対応を行うことを、(2)では、医療業界でも他産業並みの賃上げができるよう、賃金・物価の上昇を反映できる仕組みの導入を、それぞれ求めている。

日本医師会・6病院団体合同声明
令和7年3月12日

公益社団法人 日本医師会
一般社団法人 日本病院会
公益社団法人 全日本病院協会
一般社団法人 日本医療法人協会
公益社団法人 日本精神科病院協会
一般社団法人 日本慢性期医療協会
公益社団法人 全国自治体病院協議会

 病院をはじめとする医療機関の経営状況は、現在著しく逼迫(ひっぱく)しており、賃金上昇と物価高騰、さらには日進月歩する医療の技術革新への対応ができない。このままでは人手不足に拍車がかかり、患者さんに適切な医療を提供できなくなるだけではなく、ある日突然、病院をはじめとした医療機関が地域からなくなってしまう。
 まずは補助金による機動的な対応が必要だが、直近の賃金上昇と物価高騰を踏まえると、令和8年度診療報酬改定の前に期中改定での対応も必要であると考える。
 さらに令和8年度診療報酬改定に向けて、以下の2点を求める。
1.『高齢化の伸びの範囲内に抑制する』という社会保障予算の目安対応の廃止
 賃金上昇と物価高騰等を踏まえ、財政フレームを見直して目安対応を廃止し、別次元の対応を求める。
2.診療報酬等について、賃金・物価の上昇に応じて適切に対応する新たな仕組みの導入
 医療業界でも他産業並みの賃上げができるよう、賃金・物価の上昇を反映できる仕組みの導入を求める。

◆会見動画はこちらから(公益社団法人 日本医師会公式YouTubeチャンネル)

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