日医ニュース 第849号(平成9年1月20日)

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平成8年度都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会
日医会員中45%が勤務医に

 平成8年度都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会が,平成8年11月15日午後2時から,日医会館3階小講堂で開催された.会議は,日医勤務医担当の津久江常任理事の司会で進められた.

会長あいさつ

 津久江常任理事が開会を告げた後,あいさつに立った坪井会長は,「勤務医の種々の問題を協議するために集まっていただいて感謝している.勤務医の組織や日医会員中の勤務医比率については,当然,取り上げるべきであるが,数の問題だけが重要ではない.日医のなかで国民の医療のために何をすべきかという共通の問題がある.勤務医のあるべき姿をみつけ出し,後に続く人たちへの準備をし,対応を考えておくつもりなので,現場からの意見を出して十分な討議をしていただきたい」と述べた.

議 事

(1)津久江常任理事は,平成8年8月1日現在の勤務医入会状況等調査(別表)結果を報告し
た.日医会員数は141,571人で,その内勤務医は,63,716人(45.0%)であること,さらに,勤務医部会の設立状況等について報告があった.また,「医師数について,日本は現状では欧米諸国と比べてもまだ少なく,地域,施設に医師の偏りがある.医師の年齢別分布では65歳から70歳をピークとした層と45歳以下の層が多く,保険医定年制を敷くと無医地区が著しく増大する恐れがある.さらに,日医の組織強化のためにも45歳以下の未入会者が多いことが問題である」と述べた.

(2)梅田石川県医師会副会長から,去る10月26日に金沢市で開催された,平成8年度全国医師会勤務医部会連絡協議会についての報告と謝辞が述べられた.

(3)濱田日医勤務医委員会委員長から,平成6・7年度の委員会答申「勤務医の将来にむけて検討すべき諸問題と地域医師会の対応」について報告があった.また,答申のなかで地域医師会への提案をまとめているので,各都道府県で前向きに検討していただきたいとの要請があった.

(4)都道府県医師会における勤務医活動報告として,次の4府県からの報告があった.

  1. 福島県医師会:1000床以上の民間病院が4施設もあり,民間病院が多く,勤務医と開業医が一体となって活動しており,部会設立は不必要であるとの立場からの報告であった.勤務医と開業医の役割分担と相互連携を機軸としたシステム作りが,医師会の果たすべき役割であるとの考え方と,同医師会の勤務医の状況が述べられた.
  2. 新潟県医師会:勤務医部会はなく,医師会員の内に勤務医の占める割合が高い(58.6%)にもかかわらず,開業医と勤務医の連携が良好であるとの報告であった.勤務医部会設立の可否についての討議が行われた経緯や医師会で勤務医に共通の問題を積極的に提起して,医師会活動に対する勤務医の関心を高めていること,さらに,勤務医に関する意識調査の報告と関係会議の状況等が,報告された.
  3. 愛知県医師会:4つの大学医師会を持つ立場からの報告であった.代議員,理事にも大学からの参加があり,勤務医部会の副部会長も1人は大学からであること,勤務医師名簿の作成や勤務医生活協同組合は10年以上の歴史があること,愛知医報の部会活動コーナー,岡崎市医師会と市民病院の緊急出動システム,診療所からの依頼に応える4大学輪番制の剖検システム,難病相談,雑誌「現代医学」などの説明があった.
  4. 京都府医師会:同医師会企画委員会が「医師会活動の在り方」について行った調査結果が報告された.「勤務医を取り巻く環境」について,労働条件,医師賠償責任保険,医療経済・保険診療,学会・専門医,定年・年金・福利厚生,医師会活動の項目で行った調査結果および調査で受けた提言より,大学に出向いて,中堅や指導者医師に対して保険診療に関する講演会を実施し,好評であった旨の報告であった.
勤務医の入会・勤務医部会設立状況等調査
(平成8年8月1日現在)
都道府県 会員数 勤務会員 (%) 部会設立
状況
北海道 5,800 3,171 54.7
青 森 1,203 327 27.2
岩 手 1,611 937 58.2
宮 城 2,570 1,234 48  
秋 田 1,322 685 51.8  
山 形 1,464 786 53.7  
福 島 2,265 1,154 50.9 ×
茨 城 2,033 774 38.1
栃 木 1,665 561 33.7
群 馬 1,819 504 27.7  
埼 玉 4,523 1,691 37.4
千 葉 3,348 714 21.3  
東 京 16,075 6,913 43  
神奈川 6,583 2,179 33.1  
新 潟 2,993 1,753 58.6  
富 山 1,272 532 41.8  
石 川 1,063 322 30.3
福 井 861 376 43.7  
山 梨 881 405 46
長 野 1,922 759 39.5  
岐 阜 2,055 942 45.8
静 岡 3,454 1,488 43.1
愛 知 6,839 2,980 43.6
三 重 1,946 847 43.5  
滋 賀 1,402 772 55.1 ×
京 都 2,704 736 27.2
大 阪 14,122 7,390 52.3
兵 庫 7,859 3,943 50.2
奈 良 1,754 903 51.5
和歌山 1,324 447 33.8  
鳥 取 657 167 25.4
島 根 879 333 37.9
岡 山 2,378 1,017 42.8
広 島 4,224 1,872 44.3
山 口 1,921 726 37.8
徳 島 1,243 536 43.1
香 川 1,671 1,090 65.2 ×
愛 媛 2,405 1,359 56.5
高 知 1,392 793 57  
福 岡 6,261 2,562 40.9
佐 賀 1,183 521 44
長 崎 2,512 1,216 48.4
熊 本 2,385 984 41.3
大 分 1,744 840 48.2  
宮 崎 1,386 637 46
鹿児島 3,368 2,118 62.9  
沖 縄 1,230 720 58.5
141,571 63,716 45 26

部会設立状況:     
   設立済み ○  設立不要 × 
   設立予定 ☆  予定なし(無印)

連絡事項と質疑

 次回の担当医師会である福岡県医師会から,平成9年度全国医師会勤務医部会連絡協議会を平成9年10月25日(土),福岡市で行う旨の説明があった.
 続いて,小池麒一郎常任理事から平成7年度日医生涯教育制度申告書の集計結果について報告があった.さらに,医療費財源の逼迫から,保険医定年制などの医師数の抑制が議論になっており,勤務医への影響も大きいので,生涯教育の申告についても協力方の要請があった.
 最後に,沖縄県医師会に本年勤務医部会が設立されたことの紹介があり,質疑に移った.
 勤務医の労働時間が超過している現状を踏まえ,勤務医には労働基準法は適用されないのか,地域医師会における会費の統一化はできないか,若手勤務医の医師会入会促進をすべきか,などの質問が出され,今後これらに対してさらに検討することとなり,会議は終了した.


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