数年来の懸案であった勤務医部会は,平成8年3月の沖縄県医師会代議員会において会則が承認され,4月1日をもって,発足した.
沖縄県は,全国各都道府県医師会のなかでも,勤務医の増加率と,県医師会のなかでの勤務医の占める割合が高いことで注目されている.すでに,各種委員会等の委員にも勤務医が参加活動しており,勤務医委員会は早くから存在し,担当理事は全国医師会勤務医部会連絡協議会にも参加している.
県医師会の理事会では2年くらい前から,部会の設立については前向きの姿勢であったが,ご多分にもれず,勤務医の意識は低く,メリット論議が絶えず,盛り上がりに欠けていた.
しかしながら,最近の日医の意向もさることながら,沖縄県での勤務医の増加は著しく,その理由の1つには,昭和56年,琉球大学医学部が発足し,昭和62年以降,卒業生の半数以上が県内にとどまり,若い医師会員の入会が続いていることがあげられる.また,病診連携が強調されているなかで,勤務医の存在が大きな課題となったこともある.
部会員資格は,県医師会員であること,また,全県1区域とした.3月1日現在の会員数は,琉球大学医師会(314名),県公務員医師会(197名),那覇市立病院医師会(41名),国療沖縄公務員医師会(32名)およびその他の各地区医師会所属の勤務医を加えて,会員は1,160名で,全県医師会員数の65.5%を占めており,その比率は47都道府県医師会のなかでも最も高くなっている.
右記に列挙した琉球大ほかの公的病院医師会の合計は584名で,部会員の50%を占めているが,そのうち日医に入会している医師は31.2%にすぎない.
部会長には,安次嶺馨中部病院副院長を選出し,会費は徴収しないことにした.前述の各公的病院医師会組織は存続し,その他各地区医師会を含めてそれぞれの代表で役員会を構成している.
沖縄県医師会勤務医(1987〜1995年)
年度 |
全会員数 |
勤務医数 |
割合 |
1987 |
962 |
521 |
56.24 |
1988 |
1052 |
619 |
58.84 |
1989 |
1149 |
709 |
61.71 |
1990 |
1267 |
809 |
63.85 |
1991 |
1337 |
876 |
65.52 |
1992 |
1452 |
977 |
67.29 |
1993 |
1499 |
1007 |
67.18 |
1994 |
1607 |
1104 |
68.7 |
1995 |
1631 |
1125 |
68.98 |
沖縄県医師会勤務医割合
発足後の2回の役員会のなかで,種々討議が行われたが,日医の生涯教育申告率が依然として,全国最下位であることに関して,積極的に取り組むことを確認した.
沖縄県医師会は,長年にわたり年2回の学術総会を行っているが,一般演題(150〜200題)のほとんどは勤務医による発表であり,また,各講演会等の参加状況をみても,沖縄県の医師が不勉強でないにもかかわらず,生涯教育申告率に示される評価は低くなっている(平成7年度24.6%).
日医の方針で,今後とも学習の自己申告は継続,強化されることになっているので,県医師会も積極的な対策をすすめているところであり,勤務医部会としても,申告率の向上に努力することを確認した.
平成8年度の事業計画は,勤務医部会員の名簿の発行,設立記念講演会の開催である.来る3月29日,「勤務医の現状と将来」と題して,日医勤務医委員会の濱田和孝委員長の講演会が開催されることになっている.以上,簡単に,沖縄県医師会勤務医部会の設立を紹介した.
なお,今後の活動についての事業計画に伴う予算に関しては,県医師会のなかで認められている.
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