わが群馬県医師会は,勤務医の医師会加入率や医師会活動への参画状況が,いまだ非常に低い状態にある.
そんななか,群馬県医師会勤務医現況調査集計結果報告書を作成したので,ここに報告する.
調査対象者は,県内の勤務医2,013名(医師会員508名,非医師会員1,505名)で,回答者数は893名,回答率は44.4%であった.
回答者893名の性別は,男性802名,女性91名,年齢は30〜50歳が約70%であった.
勤務先は公立,公的病院が61%,私立病院が32%,勤務先病床数は300床以上が59%,100〜299床が21%であった.
勤務年数は,5年未満が50%強,10年以上が約30%,定年は70歳が2%,65歳が47%,60歳が28%であった.
勤務時間は,週40〜48時間が44%だが,48時間以上が27%あり,長時間労働の傾向が認められる.
週休をみると4週8休が62%あり,公立,公的病院での週休2日制が定着してきた結果と思われる.
当直の回数は,月に4〜5回が25%で,当直明けの平常勤務が78%と勤務状況の厳しい一面が認められる.
職場での満足度では,不満が50%以上あり,主な理由は過重労働,研究時間不足,将来への不安であった.
それでも開業に対しては約50%が否定的で,現在の厳しい医療環境を反映しているように思われる.
医師会加入率は38%で,その医師会費は81%が開設者,管理者負担であった.
未加入者の理由は,医師会をよく知らないためが70%もあり,驚きであった.
しかし,医師会発行の機関誌については50%以上が読んでいるとのことで,医師会に関心を持っていることも事実である.
医師会活動への参画をみると,生涯教育,地域保健,救急医療等で約70%が参画しているとのことであった.
病病連携,病診連携については,現状に満足が50%あり,開業医から見た満足度より高いように思われる.
医師会加入者の日医生涯教育制度申告率,日医医師年金加入率はいずれも20%前後であった.
群馬県医師会勤務医部会設置については,わからないが45%,必要が40%であった.
・医師の声を集約し,厚生省への発言力を高めてほしい.(37名)
・勤務医活動を活発にし,勤務医が参加しやすい環境にしてほしい.(20名)
・利益団体ではなく,国民医療の向上のために活動をしてほしい.(17名)
・現在の開業医中心的な体質を改善してほしい.(15名)
最近の医師過剰問題について
・医学部の定員を減らす.(44名)
・分野(地域)により,過剰と不足があり,調整が必要である.(44名)
・医師の増加は質の向上につながり,よいことである.(31名)
将来への希望について
・将来の医療がどうなるか不安である.(17名)
・病診連携の確立が必要である.(16名)
・いつまでも現役でいたい.(5名)
医師の福利厚生について
・医師は恵まれていないので,もっと充実すべきである.(32名)
・休日がほしい.働き過ぎである.(12名)
・年金や保険制度を充実してほしい.(10名)
生涯教育について
・必要である.(72名)
・さらに充実させる必要がある.(15名)
・必要なし.(10名)
その他の意見
・日医はすべての医療問題について,国民にその実態を詳しくPRすべきである.
・最近のマスコミの作為的な医療報道に対して,情報操作や圧力に屈しない,医師会の活動を期待する.
・大学を中心とした,医療の役割分担を進めるべきである.
・医師会というからには,勤務医もその一員と考えてほしい.
今回の勤務医現況調査集計結果報告書が示すとおり,まずは医師会をよく知らないと答えた多くの勤務医に対し,医師会をPRすることから始めたい.
現在,作成中の群馬県勤務医師名簿平成10年度版にPRのページを予定している.
次に,勤務医が入会しやすい会費・入会金および勤務医部会設立等を検討する.
その他,今回いただいた勤務医からの貴重な意見を生かして,医師会と勤務医との間にある壁をなくしていきたいと考えている.
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