日医ニュース 第905号(平成11年5月20日)

勤務医のページ

神奈川県医師会勤務医部会
設立までの経緯

 神奈川県医師会では,増え続ける勤務医の活動の場として,勤務医部会の設立を準備してきたが,本年2月14日,待望の設立総会が,神奈川県総合医療会館において開催された.

部会設立までの経過

 昭和63年5月,「急増する勤務医の対策」について,県医師会長より病院診療所対策委員会に諮問され,「早急なる対応をすべき時期」との答申を得て,種々検討の末,平成3年7月に病院診療所対策委員会のなかに「勤務医対策小委員会」が設置された.当時の医師会員数6043名,勤務医は1864名で比率は31%であった.
 平成5年3月,勤務医対策小委員会を勤務医対策委員会にするための「勤務医対策委員会設立に関する答申書」が,県医師会長宛に提出され,平成6年,「勤務医対策委員会」が設立された.
 平成9年9月,時は,もはや委員会は,勤務医の対策を云々するにとどまらず,医療における役割分担を明確にして,相互の連携を深める体制を検討すべきとの意見により「勤務医委員会」と名称変更された.それとほぼ同時に,委員会において「勤務医部会設立」が議題として提案された.当時の医師会員数6899名,勤務医2430名(35%)であった.
 平成10年6月,勤務医委員会のなかに,部会設立準備委員会を設置するとともに,事業等検討,広報,部会費検討,部会員対策の4小委員会を作り,部会施行規則を中心に検討を開始.同7月2日,「勤務医の入会等に関する懇談会」を開催,県下の4大学(北里大学,聖マリ医科大学,東海大学,横浜市大)の医学部長,若い医局員,基礎医学医局長等との意見交換を行い,部会設立に資するとともに,その内容については県医師会雑誌に掲載した.
 平成10年9月,第一回勤務医部会設立準備委員会を開催し,部会設立案,施行規則案をまとめ,同年10月開催の第136回神奈川県医師会代議員会において部会設立が承認された.
 平成10年11月,第二回設立準備委員会を開催,部会施行規則(案)および入会手続き方法について最終案をまとめ,県医師会理事会に提案し承認を受けた.
 平成11年2月14日,各郡市医師会より選出された役員により幹事会,評議員会を施行し,引き続き設立総会を開催した.
 なお,県内郡市医師会における勤務医部会(委員会)の設置状況としては,横浜市医師会以下6医師会あり,特に横浜市医師会では,昭和38年よりすでに勤務医連絡委員会が設置され,昭和63年には第九回全国協議会を開催する等,活発な活動が続けられている.

●神奈川県医師会勤務医会員数の推移

  昭和63年 平成元年 平成2年 平成3年 平成4年
総会員数 5521 5663 5840 6043 6146
勤務医数 596 1611 1708 1864 1936
 
  平成5年 平成6年 平成7年 平成8年 平成9年
総会員数 6233 6348 6536 6689 6899
勤務医数 1932 2015 2132 2292 2430

設立についての問題点

 部会設立については2つの問題点があった.1つは,すでにC会員(勤務医)として入会している会員に,改めて入会手続きをしてもらうかどうかの問題であった.全会員に部会設立通知を出し,業務処理上入会を辞退する会員のみ届け出てもらうこととした.
 第二の問題として,部会費徴収の可否についてであった.小委員会,準備委員会においては,年額2000円徴収することを決定し,施行規則にも明記したが,他の部会,例えば,学校医部会,産業医部会等とは異なり,入会しても特別の経済的メリットもないという意見を重視し,さらに勤務医の会費納入(雇用者負担)等の特殊事情を考慮し,会長(理事会)の判断により,当分の間は徴収しないこととし,これを施行規則にも附記した.

勤務医部会への期待

 平成11年度の事業計画としては,(1)勤務医部会の組織の強化と事業の推進(2)勤務医の地域活動の推進(3)勤務医の研修の推進をあげている.名簿の作成や部会誌の発行,部会員の福祉対策等により,相互の親睦を図るとともに,医師会への新入会の促進に努めることはもとより,特に地域医療における病診連携システムの構築に重点を置いて活動を展開していこうというものである.
 なかでも,平成11年度の重点項目としては,勤務医にとって,もっとも係わりのある急性期リハビリテーションシステムの構築と,特定機能病院との病診連携の2点をあげている.
 急性期リハビリテーションシステムの構築は,脳血管障害患者の急性期リハビリテーションの重要性を考慮し,既存の県立七沢病院脳血管センターと,本年開設予定の横浜市立脳血管センターを基幹病院としての受け入れ体制の整備,後部支援病院との連携システムの構築を検討する.
 特定機能病院との病診連携については,特に高度先進医療,特定疾患(難病等)の不採算医療に対する理解と協力により圏域医療機関との連携組織を構築する.


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