日医ニュース 第913号(平成11年9月20日)
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東京都医師会 |
平成九・十年度の東京都医師会勤務医委員会は,都内十二大学医師会より委員として講師クラスの若手勤務医が推薦を受け,発足した.このこともあり,佐々木健雄東京都医師会長より「医療連携における勤務医の役割」なる諮問を受け,大学勤務医の立場から検討することになった.
委員会でのはじめの検討事項は特定機能病院についてであった.すでに発足から三〜四年が経過し,制度としては一応定着しているが,医療連携を行ううえでのいろいろな問題があるはずであり,また,大学勤務医としての理解と対応についても検討するため,アンケート調査を行うことになった.
三月二十日発行の本紙「勤務医のページ」では,アンケートに寄せられた自由意見についてすでに述べているが,本稿では大学(特定機能)病院における診療と医療連携の現況について述べる.
アンケートの回答概要 |
医療連携についての現況と将来像 |
(三)大学病院入院例で,大学以外での診療が可能とされた患者の割合が一〇〜三〇%以上としたものが六九%もあり,特定機能病院としての診療形態の再構築が指摘される.大学病院への患者偏向の理由として,図2に示すように,高度の先進医療,充実した診療科など,特定機能病院としての機能(五〇%〜七〇%)を挙げる一方で,いわゆるブランド志向,医療連携の不備,他の入院施設への不満などの問題点を指摘するものが(四〇〜六〇%)多数いることが注目される.この問題を是正するための方策としては,医療機能の役割分担,かかりつけ医制度,大学(特定機能)病院の診療報酬増額などの意見が示されている.いずれにしても,行政の対応を医師会による啓蒙活動に期待することになる.
(四)医療連携についての情報交換については,いまだ不十分であるとの指摘がある.これについては,医療情報開示について検討されているが,いわゆるカルテ開示の将来として,患者を含めた連携医間の伝達にまで発展すべきであり,また,現在,検討されている電子カルテにもつながる問題である.
(五)医師会に対する要望の自由意見として,医療連携に必要な情報が少ない,新しい効率的な連携システムの導入を期待する,との意見が多くみられた.