日医ニュース 第913号(平成11年9月20日)

勤務医のひろば

医師会活動に参加して思うこと



 勤務医は,学会専門医を目指して自分の専門性を高める努力をすることは,もちろん必要なことである.しかし,学会活動だけに目を向けて,自分の専門分野だけに閉じこもっているだけではなく,地域医療における自分の病院の置かれている立場,医療行政の動向にも目を向ける必要がある.
 臓器移植・遺伝子治療などに見られる先端医療に携わるとしても,今後の医療改革の方向を知らなければならない.さらに,高齢化社会に伴う生活習慣病の専門的治療だけではなく,患者教育を含めて予防活動にも積極的にかかわっていく必要がある.
 昭和六十二年二月,八戸市医師会勤務医部会設立準備委員会のメンバーとして医師会活動に参加して以来,翌年には,青森県医師会勤務医部会設立にも携わってきた.平成八年八戸市医師会理事の一人に選任され,勤務医部会・学術学習・スポーツ科学・成人保健等の委員会に携わり,現在に至っている.
 このような委員会活動のなかで,開業医と勤務医の役割分担が明らかとなり,車の両輪として,地域医療における病診連携をいかにするかが,医師会の目指すものと考える.
 地域医療の基本である救急医療システム・かかりつけ医機能・介護保険制度を軸とした病診連携を確立することが必要である.その目的のために,勤務医も積極的に発言していくことが必要である.現在,「勤務医と開業医の話し合いの会」も第七回が計画中であり,実効を上げている.
 勤務医が開業医を数のうえで上回っている現在,医師会における勤務医の果たす役割を考え,今後,医療制度がどのように進んでいくのか注目し,医師の代表組織としての日医に積極的に参加し,国民のためにより良い医療制度づくりのために発言力を高める努力が必要である.
 最後に,勤務医の税金対策,今後進められる二年間の初期研修制度に対しても,日医は積極的に取り組んでほしいと考えている.

(労働福祉事業団青森労災病院 天野正文)


日医ニュース目次へ    勤務医のコーナーへ