日医ニュース 第923号(平成12年2月20日)
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鳥取大学医学部医師会は昭和二十二年十一月十日に設立された.鳥取県医師会よりわずか十八日であるが,早く設立されている.現在,県医師会の下部組織として大学医師会以外に東部医師会,中部医師会,西部医師会があるが,ここでも大学医師会が最も古い歴史をもっている.
大学医師会は助手以上が入会有資格者であるが,有資格者二百二十名中百七十名しか入会していない.設立は古くても,組織率は約七七%にとどまっている.この数値が全国の大学医師会でどのようなランク付けになるか,手持ちの資料はない.
組織率が高くならない理由の一つは,当大学では卒業後比較的早く助手につける教室もあり,そのような場合,本人にはどうしても会費が高く感じられると思われる.ちなみに大学医師会に入会すれば,県医師会費,日本医師会費も同時に納入しなければならないことになり,年間四万九千円は痛手のようである.
それと,入会しても短期間で職場が変わる可能性があり,目に見えない利益,利点もないため,主任教授として積極的に入会を勧めづらい事情がある.一方,助手以上ではどうしても研究生活に重点が置かれるので,医師会活動までは気が回らないというのが本音のところもある.
それでも執行部としては,会員に利益を還元するべく知恵を絞っている.その一端が,医学および医術の教育研究助成,あるいは学術講演会などに対する助成である.毎年,ときどき著名な専門家を招き講演会を主催している.このときは,会員はもとより看護婦などコメディカル,事務系職員の参加も募り,毎回盛会のうちに終わっている.
国立大学附属病院の独立行政法人化への移行は避けられない趨勢にあるが,このときに備えて,大学人は本当の意味での勤務医の感覚を身につけなければならない状況にきている.新しい体制へ向けて発想の転換が求められているところである.
(鳥取大学医学部医師会長 三原基之)