日医ニュース 第927号(平成12年4月20日)
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についての答申概要(2) |
勤務医委員会は,坪井栄孝会長より「医師会の組織強化への勤務医からの提言」についての諮問を受け,このたび,委員会の見解を取りまとめたので,その概要について,前回に引き続いて報告する.
なお,全文は日医ホームページに掲載してある.
IV. 医師会の目標達成能力の強化 |
一,医師会の理念・目標の徹底
医師会は公益社団法人として,国民に良質な医療を提供するための政策提言集団であり,救急医療を含む各種の地域医療活動を展開する学術専門団体であるが,その理念や目標は,国民はもとより,非会員医師のみならず,一般会員にさえ正確に浸透しているとはかぎらない.
医師会が正しく認識されるためには,医師会の行おうとしていること,行っていることを正確に理解させることを,あらゆる広報活動を通じて徹底する必要がある.
従来の広報活動の他に各種の広報手段を通じ,医師会を分かりやすいものにすることも重要である.
二,医師と医療の質の向上
医療の高度化・専門分化が著しく進展するなか,国民の医療への期待は高まる一方であり,いっそうの医療の質の向上と効率化が望まれている.そのためには,まず,教育・研修の充実が重要である.
卒前教育も,チュートリアル教育システムやクリニカル・クラークシップが主流になりつつあり,卒直後の臨床研修も,幅広い医療に対応できる能力やEBMの修得,さらには保険医療にも精通し,地域医療にも貢献できるような生涯教育へと繋げる必要がある.
また,最も重要なことは,患者の人権尊重であり,医の倫理の昂揚である.患者の意思を尊重し,納得の得られる医療が求められるが,そのためには,徹底した診療情報の提供とインフォームド・コンセントの確立が重要であり,十分な診療時間の確保など,診療報酬上の配慮が不可欠である.
医の原点である救急医療の充実が求められるが,まずは,救急医療を提供するための人材養成が急務であり,また,救急医の専門性の確立と専門各科とのすみ分けが今後の解決の課題である.過酷な労働環境への配慮も必要であり,救急医療については,医師会の直接間接の強力な支援が求められる.
また,医療事故を予防し,安全な医療を実践するためには,リスク・マネジメントの導入,確立が不可欠であり,そのための啓発活動や医療現場における意識改革とともに,正確な情報に基づく事故予防システムの構築と安全対策マニュアルの作製と徹底が重要となる.
これら医療における種々の問題を解決するためにも,また,より質の高い医療サービス提供のためにも,従来の医療提供体制の単なる延長ではない,新しい観点からの医療提供体制へと変革する必要がある.
勤務医は,医療制度等の変化に対して,もっと関心を高め,これら制度のあり方について,医師会を通して主張していくべきである.
V. まとめ |
勤務医委員会委員(肩書きは3月現在) ◎委員長 ○副委員長 |