日医ニュース 第935号(平成12年8月20日)

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日本医学会の概要

日本医学会は,現在,94の分科会から成り立っている.その本部ともいわれる医学会長室および事務局は,日医会館内に置かれている.今号は,日医と密接な関係にありながら,あまり知られていない日本医学会について紹介する.

日本医学会の概略

 一九〇二年四月二日から五日まで,十六の分科会が合同して第一回日本聯合医学会を上野の東京音楽学校において開催した.これを公式に本会の創設日とする.
 第三回からは日本医学会と改称し,以後四年ごとに開催,今日に至るまで連綿と継続されている.ただ,一九四七年開催の第十二回総会のみ,終戦直後のため一年延期された.その十二回総会で日本医学会の常設・恒久化が決議され,一九四八年三月八日に改組途上の日医と合体した.
 日本医学会の活動は,あくまで学問中心で,その会員制度は学会単位の加盟である.現在,九十四分科会を擁している.

日医と日本医学会

 前述の合体後,日本医師会定款第十章第四十条に「日本医師会に日本医学会を置く」とされ,日本医学会は,日医と密接な連携のもとに,「医学に関する科学および技術の研究促進を図り,医学および医療の水準の向上に寄与する」ことを目的としている.
 また,日本医学会は上記の目的を達成するために,次のような事業を行っている.(1)日本医学会総会の開催,(2)日本医学会シンポジウムの開催,(3)医学および医療に関する情報の収集と伝達,(4)その他学会の目的達成上必要な事業.

日本医学会総会

 先述の第一回日本聯合医学会が,一九〇二年四月に,上野において開催された.その開会式辞で,エルウィン・ベルツ名誉会頭が,「医学における日本人の名声は欧州の学術雑誌に名を揚げ,今や日本の医学は外国の教師を必要としなくなった」と述べ,日本の今後の医学教育に至るまで経験に基づいた提言が行われた.
 二〇〇三年四月四日(金)〜六日(日)には,福岡において,第二十六回総会が開催される.「人間科学 日本から世界へ―二十一世紀を拓く医学と医療 信頼と豊かさを求めて―」をメインテーマに掲げ,杉岡洋一会頭の下に準備が行われている.

日本医学会シンポジウム

 先項の総会は,分科会を総合した医学の進歩向上に推進してきたが,各専門分野の急激な細分化による進歩に鑑み,常時活動の一環として,一九六五年より日本医学会のシンポジウムを新方式で開催した.現在までに,第百十七回日本医学会シンポジウム「幹細胞と細胞療法」が終了した.終了後,シンポジウム記録集を刊行し,シンポジウム参加者および希望者に贈呈している

日本医学会特別シンポジウム

 一九九一年に分野横断的なテーマで,新たに特別シンポジウムを開催することになった.第一回特別シンポジウムは,一九九三年に「医と法」,第二回は一九九七年「医と教育」とテーマを掲げた.また,二〇〇一年には,「医とゲノム」と題して,札幌において第三回を開催の予定である.

日本医学会医学用語管理委員会

 医学用語辞典刊行事業は,一九四二年,第十一回日本医学会総会において医学用語の整理統一が提唱され,第十二回総会において継続事業とされ,一九五二年に日本医学会医学用語委員会が組織された.
 現在,「日本医学会 医学用語辞典 英和」第二版改訂事業を行っており,今年度中に刊行の予定である.

日本医学会新規加盟審査委員会

 一九九六年度から日本医学会への加盟を新方式で行うことになった.それまでは,総会開催年の四年ごとに新規加盟が行われていた.
 現在は毎年,審査委員会で加盟の審査基準に基づいて詳細に検討したうえで審査を行っている.毎年一学会が加盟している状況である.

日本医師会医学賞・医学研究助成費選考委員会

 日本医学会が日医から委任されて審査を行っており,医学賞は三名,医学研究助成費は十五件授与している.

認定医制についての三者懇談会

 学会認定医制協議会と日医と日本医学会の三者が継続して,認定医制についての協議をしている.


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