日医ニュース 第975号(平成14年4月20日)
勤務医の県医師会執行部への参加を考える |
新潟県の医師数は,人口十万人対で約百七十三名で県別では四十位と極端に医師不足である.なかでも病院勤務医の不足と労働条件の悪化は深刻である.これが最近の開業指向に輪をかけ,悪循環に陥ってる.一方,当県医師会員数の五八・一%が勤務医である.全国十一番目に勤務医の比率は高い.
県医師会活動についてみると,当県医師会は十九の委員会があるが,委員数百五十六名のうち,勤務医の割合が六〇・三%と全国一位である.また,役員のうち勤務医(そのほとんどが院長か副院長)は,前々期の十二〜十三年度では,副会長一名を含めて二十名中九名で,他の都道府県と比べ多い方であったが,前期はさらに増え,十三名と半数をはるかに超えた.
開業医の高齢化と開業したての若い開業医の増加という二極化で,開業医の医師会活動への参加がむずかしくなっているなどの理由が考えられるが,他の都道府県の状況はどうなのであろうか.
これで良いのだろうかと自問自答し,戸惑いを感じることもある.ただ,理事会など協議の場でも開業医と勤務医という対立の構図はまったくなく,片寄った議論はされていないことは幸いである.
二年前の当県医師会の勤務医へのアンケート調査では,勤務医の組織化は必要という意見は約六〇%あった.その理由としては,勤務医の身分の向上のため,勤務医の意見や主張を行政に反映させるため,医師会の制度,施策が開業医中心すぎるからなどを挙げている者が多かったが,当県の現状の役員,委員構成からは,勤務医部会を別に設立するなど,新たな勤務医の組織化の意義は少ないと思われる.しかし,執行部としては多くの勤務医が抱いている要望への真剣な対応を迫られていることも事実である.
また,開業医と勤務医との役員構成のバランスの良さが医師会活動に厚みと広がりを持たせることになるので,会員が役員として参加しやすい条件整備,組織改革についての検討も急務であるとの問題意識を持っている.
(新潟県医副会長 渡部 透)