日医ニュース 第981号(平成14年7月20日)
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香川県医師会勤務医部会設立までの経緯 |
現今,わが国の保健医療,福祉の対策において勤務医の担う分野は決して少なくなく,医療構造の改革・医療情報の提供・医療の質の管理,標準化,さらには医の倫理の徹底等,日医の進めている構想には,全国の医師が開業医,勤務医の別なく参画し,主体性をもった活動を展開する必要がある.
香川県医師会としては,従来より,勤務医部,病院部の変遷を経て,勤務医問題を担当して来た経緯があり,勤務医部会の設立には消極的であった.
しかし,全国的な流れのなかで側面から論議するのではなく,開業医と対等の立場を堅持し,勤務医会員としての意識革命を斉らすためにも部会設立の気運を亢めるべく検討を重ねた.
平成九年,勤務医部会設立小委員会を設置,爾来(資料1)延べ四年間にわたる検討を重ねた.この間の経緯からは,勤務医と開業医との意識格差が厳然として存在すること,勤務医間にあっては医師会活動におけるメリット,デメリット等の問題が指摘され,自己中心の想いが発足を妨害する.すでに,日医レベルでは,対峙からメリット,デメリット論を経て,協調・参画の時代に変遷していることへの対応が,地域レベルではいまだ到達していないことが拍車をかける.
しかし,構成比率が,県医千八百十九名中千九十五名,六〇・二%(平成十四年一月一日現在)を占めることからも,発足させることは急務であることが示唆された.
平成十二年度に発足した勤務医部会(香川県医師会勤務医会)は,全国第二十八番目の部会として,平成十三年一月十三日設立記念講演会をもって設置された(資料2).
今後の事業計画として,次の理念の基に各委員会の積極的事業推進を期待している.
組織強化と事業の推進 |
香川県医師会勤務医会は全国都道府県医師会のなかで,第二十八番目に設立された勤務医会であること.
香川県医師会員は平成十四年一月一日現在千八百十九名,A会員七百二十四名,B会員千九十五名
であり,勤務医は六〇・二%である.
入会資格は,香川県医師会員の勤務医であることのみで,会費についても医師会費のみであり,発会に当たっては,勤務医会の意義について会員各位の自覚が特に必要である.
本会の事業により勤務医の地域活動,研修を通じて医師会内での連帯と共生を図りたい.
地域医療活動の推進 |
介護保険が,発足して八カ月が経過,この保険制度の領域のみならず医療に,そして,地域社会全体に大きな変化をもたらすものと考えられる.保健・医療・福祉のボーダーレス化が出現しようとしている.
今後,在宅医療は従来の外来,入院医療に加え医療の重要な部分を占めてくると考えられ,一次医療を担う開業医と二次医療を主体とする勤務医とは,ここでもその職務分担を明らかに分け合い,病診連携を密に協力していかなければ,この在宅医療も成り立たない.
医療全体のなかの,一次医療を担うものと,二・三次医療を担うものとの連合体として,その業務分担を明確にするとともに連携を強力に組織化し,協力して総体的な医療の充実を図ることを目指していきたいと願っている.
研修の推進 |
厚生労働省医道審議会医師分科会医師臨床研修検討部会は「期待される医師像」を次のようにまとめている.
すなわち,