日医ニュース 第991号(平成14年12月20日)

勤務医のページ

平成14年度全国医師会勤務医部会連絡協議会
―「ついに来た医療改革」をテーマに―

 平成十四年度全国医師会勤務医部会連絡協議会(日医主催)が,平成十四年十月二十六日,山口市で「ついに来た医療改革」をメインテーマに,県内外から四百十名の会員が参加して開催された.
 開会式では,主催者側の坪井栄孝会長が,「多事多難の今だからこそ,われわれは結束して,日本の医療に誤りのない方向性を持たせるよう,努力していかなくてはならない」と述べ,また,藤井康宏山口県医師会長は,「今,私たちに必要なことは,今後の日本の医療がどうあるべきかを改めて考え,必要に応じて行動することであり,それが医療を守る医師会活動のエネルギーの根源となる.ぜひ,この会を有意義なものにしていただきたい」とあいさつした.

特別講演

 坪井会長が,「医療の考え方を根底から変える」と題して講演した.
 そのなかで,「今行われている,財政主導型の医療改革,医療政策を根底から否定し,皆保険制度を中心とした,国民のための医療制度でなければならない.二十一世紀の医療は,患者さんが選ぶ医療であり,われわれが選ばれる医療でなければならない.そのためには,高い倫理観を持った医療,公的皆保険制度,質の高い医療,そして,完全にディスクローズされている医療を実行することが必要である」と強調した.

日医勤務医委員会報告

 池田俊彦日医勤務医委員会委員長より,勤務医委員会の報告があった.二年間の勤務医委員会は,今年十一名のうち女性を含む七名が新しいメンバーとなった.勤務医委員会の役割の中心は,坪井会長の諮問「勤務医と医師会活動」についての答申の作成である.また,勤務医会員数の推移,日医代議員における勤務医数,勤務医部会・大学医師会の設立状況についても報告した.

山口県勤務医アンケート調査報告

 アンケート調査用紙を県内病院勤務医千六百八十八名に配付し,九百八名(五三・八%)からの回答を得た.これまでの継続的な調査項目を中心に,新たに「医療改革の動き」や,「卒後研修について」などの調査を行った.他県と同様に,勤務医の過酷な勤務状況や,過重労働が浮き彫りにされたが,何らかの形で医師会活動へ関わっている勤務医は,半数にも満たない状態であった.

次期担当県あいさつ

 次期担当県である有山雄基奈良県医師会長が,平成十五年度全国医師会勤務医部会連絡協議会を十月十八日に奈良市で開催予定であると案内した.

ランチョンセミナー

〈第一分科会〉
 感染症対策について―院内感染に対する医師会活動について―

 青森県医師会の和田一穂常任理事が,感染症の問題は,単に個々の医療施設の問題ではなく,いかに地域の医療機関が情報を共有化し,感染対策の共同実施と啓発を図っていくことができるかであるとして,青森県医師会内に設置した「青森県院内感染防止対策委員会」の活動状況を紹介した.
〈第二分科会〉
 日医が提唱する卒後臨床研修「地域施設群研修方式(仮称)」モデル事業について

 栃木県医師会の昌子正實常任理事が,本年六月から栃木県で行われている日医モデル事業の地域施設群研修を紹介した.独協医科大学,自治医科大学を含む五つの救急救命センターのある病院の院長をはじめ,十四名の委員で構成された委員会で研修プログラムを検討し,各週ごとに「行動目標」「研修目標」に対しての研修評価を作成しているという内容であった.

シンポジウム

 シンポジウムは「医療改革後の勤務医の対応」(座長:福村昭信山口県医師会勤務医部会長)をテーマに,県内五つの病院からのシンポジスト(沖田極山口大学医学部附属病院長,江里健輔総合病院山口県立中央病院長,河野通裕萩市民病院長,篠崎文彦宇部興産(株)中央病院長,村田秀雄医誠会都志見病院副院長)が,それぞれの違った病院の立場から,勤務医あるいは病院がこれからの医療改革にどう関わり,どう対応していけばよいかの意見を述べた.沖田病院長は,医療改革後にはお互い切磋琢磨し合い,良い環境を作り,良い住み分けを図るべきだと訴えた.
 コメンテーターの星北斗常任理事は,「これからの病院が良い医療を行うためには,それぞれの病院が役割分担を図りながら,何に焦点を当てて自分たちの医療を実現して行くのか明確化する必要がある」と総括した.

講  演

 西島英利常任理事が,「勤務医が意欲をもって働くためには」と題して次のように講演した.
 「勤務医が安心して必要な医療を提供するためには,しっかりした環境作りが大切であり,それがひいては,患者さんのためにもなり,医師と患者さんの信頼関係の構築にもなる」


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