日医ニュース
日医ニュース目次 第1017号(平成16年1月20日)

勤務医のひろば

勤務医と医師会が身近になるための一提案

 勤務医から見れば,日医は医師全体の代表であろうとして勤務医へ入会を呼びかけてはいるものの,実際は全医師の約三分の一からなる医療機関開設者集団としての活動が中心であり,勤務医に関する配慮はわずかなものでしかなかった.したがって,医師だから医師会に入るべしという点は理解できるが,入ったらどうなるのか,また,どうするのか見当もつかないというのが本音であろう.入会のメリット論が空しいのは,本質的な問題を素通りしているからである.
 全医師の約三分の二を占める勤務医の関心事は,身近な処遇,勤務条件,特に女性では出産,育児に伴う諸問題,臨床研修医の諸問題,専門的な診療や研究等の学会活動ならびに後進医師の指導教育に対する評価,医師賠償責任保険などであろう.勤務医が関心を持つためには,医師会が勤務医の関心事を医師賠償責任保険のように取りあげることが重要である.
 今般,新医師臨床研修制度の実施に伴い,医師会が熱心な対応を示し始めたのは画期的な事柄であり,今後,臨床研修医や指導医問題での展開が大いに期待される.
 医師会は,勤務医に医師会への入会と医師会活動への参画を期待しているが,現状では勤務医は入会しても活動の場が乏しい.これは医師会活動に熱心な勤務医が少ないからでもあり,鶏と卵の関係にあるといえよう.
 この状態を打開するためには,まず,会員数に応じて勤務医の代議員を増やすことから始めてはいかがであろうか.現在,日医会員における勤務医の構成割合は四七・四%なのに,代議員は四・四%に過ぎない.勤務医の代議員を増やせば,勤務医問題も含めた医師会活動が活性化する契機となるのではなかろうか.
((財)九州健康総合センター理事長 細迫有昌)

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