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第1027号(平成16年6月20日) |
新たな勤務医部会の設立
今年,新たに千葉県医師会に勤務医部会が設立され,勤務医部会が設置されている都道府県医師会は28となった.そこで,今号は,今年2月7日に千葉県医師会会館で開催された設立総会の模様と,設立趣意書の内容を紹介する.
千葉県医師会の勤務医会員は,現在,千五百九十七名で全体の三四%を占めている.
千葉県医師会では,以前から勤務医部会設立に向けての動きがあったが,なかなか実現にはいたらなかった.しかし,藤森宗徳会長の強い意向と茨城県医師会で勤務医部会の中心的役割を果たして来られた深尾立氏が千葉県に転勤されたのを機に勤務医部会が設立された.
去る二月七日,千葉県医師会三階会議室にて設立総会が開催され,日医勤務医委員会委員長である池田俊彦先生の「勤務医の医師会活動」と題する記念講演などが行われた.出席者は七十名ほどであった.
部会として会費徴収はせず,勤務医会員はすべて部会に属することとし,会誌(千葉県医師会誌)に勤務医のページを設け,勤務医が関心の高いテーマについて掲載する.例えば,臨床研修制度,小児救急,勤務医の医師賠償保険,県医師会への加入および会費問題,医師連盟等々である.
また,県医ホームページへも勤務医コーナーを設け,勤務医が自由に意見交換ができる場を提供する等を企画している.
まだ設立されたばかりなので,具体的活動についてはこれからであるが,最近の医療制度改革問題で勤務医の医師会への関心は徐々に高まってきていると実感している.
以下,勤務医の方々に配付した「趣意書」を掲載する.
千葉県医師会勤務医部会設立趣意書
このところの日本は政治・経済その他あらゆる分野で大きな転換期を迎えつつあることは皆様の実感されるとおりです.長引く不況により国民の生活設計は崩壊し国家財政は破綻に瀕し,それこそ日本沈没すら視野に入れなければならないほどの国難に我が国は遭遇しています.このような多事多難な社会情勢のあおりをうけて医療を巡る環境もますます厳しさを増してきています.
小泉政権が推進する構造改革路線では,株式会社の医療への参入,混合診療の導入など経済を優先し,国民の命を軽視する施策,つまり日本が世界に誇る国民皆保険制度を危機に陥れるような医療制度改革が叫ばれています.
一方,勤務医を巡る社会環境も激動の時を迎えつつあります.国立施設の独立行政法人化に始まり,新卒後研修制度により医局制を中心とした勤務医制度も音を立てて崩れるような様相を呈してきています.さらに労働者派遣業務の医師・看護師への拡大までが検討されています.まさに日本中の制度や機構がガラガラポンの,全く先が見えない程の改革の嵐に晒されているといっても過言ではありません.
このような医療を巡る大きな変革が起きている時に,勤務医と開業医が別の方向を向いていたのでは,私たち医師は医療と社会の改革になんの寄与もできぬばかりか,蚊帳の外に放置されることになるでしょう.今こそ勤務医と開業医が一致団結して,発言し,行動することにより,日本の医療を良い方向に推し進めねばならない時です.
千葉県医師会では過去にも医師会勤務医の力を結集させることを検討する委員会(勤務医問題検討委員会,勤務医検討委員会)がありましたが結実に至りませんでした.そこでこのたび新たに勤務医会員を連ねる「千葉県医師会勤務医部会」を設立することといたしました.
国民の健康と命を守る国民に優しい医療制度の確立,医の倫理の昂揚,新時代の病診連携・病病連携の確立,時代にマッチした生涯教育制度の確立,若い世代のための斬新な卒後研修制度の確立,医師の生活環境の改善などを目指す「千葉県医師会勤務医部会」に,勤務医会員の皆様の深いご理解とご支援ご協力をお願い申し上げる次第です.
千葉県医師会長
藤森 宗徳
千葉県医師会勤務医部会設立委員会委員長
深尾 立
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