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第1029号(平成16年7月20日) |
岡山県医師会勤務医部会活動の再開について
I 勤務医部会設立と,その後の経緯
岡山県医師会では,藤原元県医師会長の強い熱意により,平成二年に県下二千四百名の勤務医を対象とした勤務医意識調査を行った.それに基づいて平成二年から三年にかけて,勤務医問題検討会および勤務医委員会を開催し,勤務医部会を設立することにした.平成三年九月二十九日には,設立総会を開催した.
その後,勤務医部会の活動は必ずしも活発でなく,年に一から二回勤務医部会を開催するのみであった.しかも,その活動も四から五年で停止し,それ以後,勤務医部会は自然消滅の状態になっていた.
その原因としては,(1)勤務医部会の活動の必要性に対する認識が,県医師会役員のなかにおいてさえ十分になかったこと(2)勤務医の側でも,従来より岡山県は,病院協会の活動が非常に活発であったため,医師会に頼らなくても,岡山県病院協会が面倒をみてくれるとの意識が強かったこと―等のためと思われる.このため,県医師会勤務医部会は,その意義や活動目標が,明確に認識されないうちに,その活動を停止してしまったのである.
II 勤務医を取り巻く状況の変化
その後,しばらくの間は,医師会内で勤務医対策を積極的に行いにくい雰囲気が続いていた.しかし,医師会内部における勤務医対策の必要性に対する認識は,次第に変化していき,強化すべきだとの意見が強くなってきた.
その原因としては,次のようなことが考えられる.(1)勤務医である医師会会員数が,年々増加してきて平成十四年八月一日現在で岡山県医師会員に対し,B会員の占める比率は五〇・五%に達し,これに勤務医院長のA会員を加えると,勤務医会員数は医師会員の半数を大きく超える状態になったこと(2)県医師会活動の重要項目である生涯教育は,勤務医に大きく依存していること(3)反面,岡山県下医師の三五%以上に当たる千六百名以上の非会員医師がおり,そのほとんどが勤務医であること.また,岡山県下の二大学医学部は医師会活動にあまり関心がなく,大学医師会もまだ設置されていないこと(4)多くの勤務医会員は医師会活動に協力的ではないが,近年,医師会活動のなかで重要事項になっている介護保険対策,医療事故を含めた医療安全対策等を行うためには,勤務医の協力が不可欠となってきていること(5)その他,地域医療,医政活動等すべての医師会活動を強力に行うためには,勤務医対策の強化が必要になってきていること―等である.
III 勤務医部会の再開に向けて
このように状況が変化してきたため,小谷岡山県医師会長は,平成十四年度岡山県医師会事業における重点事項のなかに勤務医対策を入れた.
この執行方針に従って,平成十四年十月,調査委員会を作り,平成二年に実施したものとほぼ同様の内容で,勤務医意識調査を平成十四年十二月から平成十五年二月にかけて実施した.
また,平成十五年六月に岡山県勤務医委員会を設立して,平成十五年六月から十月にかけて三回の委員会を開催して,勤務医部会再開の準備をした.この委員会で勤務医部会再開の必要性を確認し,平成三年に作られた岡山県医師会勤務医部会規約の再確認および部会員の選出方針を決定した.この方針に従い,郡市区医師会等から部会員の推薦を受けて,部会員の決定を行った.
そして,平成十五年十月二十五日に岡山県医師会勤務医部会を再開した.この席上で,部会長として黒田重利岡山大学医学部教授を,副会長に角田司川崎医科大学附属病院長,近藤捷嘉岡山赤十字病院副院長および平野隆茂岡山県医師会副会長をそれぞれ選出した.同時に,部会再開を記念して,岡山県勤務医大会の開催を決定した.
その後,平成十五年十一月三十日,岡山衛生会館三木記念ホールにおいて,岡山県勤務医大会を開催した.当日は,基調講演I「わが国の医療のあり方と医師の研修」(講師:岩尾總一郎厚生労働省医政局長),基調講演II「医師会活動と勤務医の役割」(講師:星北斗前日医常任理事),およびシンポジウム「医師臨床研修と勤務医」を行った.
IV 今後の課題
今後の課題として最も大切なことは,部会活動が前回の轍を踏まないようにすることであると考える.そのためには,勤務医が医師会活動を,自分の問題として行動できる体制を作る必要があると考える.大学医師会の設立も,その一つの方策と考えており,今後,検討協議していきたいと思っている.
その他,若い勤務医が医師会員になり,また医師会員として継続して活動しやすい状態を作るための諸施策についても検討実施していきたいと思っている.
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