|
第1037号(平成16年11月20日) |
医師会の生涯学習にひとこと
医師免許の更新制度や医師の定年制などが噂され,医師の生涯学習の重要性が問題になりつつある.そこで,医師会では毎年多くの学習の機会が設けられている.ところが,現在の生涯学習は,多くが大学の教授などの講演会で,一般の開業医には理解しにくく,縁遠いものが行われている.時には医学の最先端の講義も大切であることには間違いないが,受講者が参加できるような生涯学習が要求されているのではないだろうか.
例えば,ACLS(二次救命処置)などの救急処置,だれでもが発言できるCPC(臨床病理検討会),病診連携に必要な知識の学習など,すぐにでも診療に役立つものが必要で,これらの知識が患者さんにとっても喜ばれるものと思われる.これらの学習の講師あるいはリーダーになれるのは,地域の医師会に勤務医として参加している,われわれではないだろうか.
私は病理医であり,一九九二年に大学から本院に派遣されて来た時から,CPCを医師会に公開することが開業医の先生に役立つのではないかと考え,実行してきた.その結果,数年で医師会の生涯学習講座に組み入れられるようになり,毎月行っているCPCは,一九九五年頃からは医師会と病院の合同CPCを年に二〜五回入れることとなり,医師会員二十〜三十名の参加が見られるようになった.
ここで生じた現象は,初め予期していなかった病診連携が非常に良くなったことである.CPCの合間に患者について病院医師と紹介医の話し合いが行われたり,病院の医師の得意な分野,あるいは診断,治療の医療機器を知ってもらったりすることにより,現在では四五%の紹介率が得られるようになった.
(大牟田市立総合病院 副院長 荒川正博)
|