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第1041号(平成17年1月20日) |
医療現場に復帰して
長期間家庭に入り,子ども四人を育て,一念発起,再び新米の医師として現場に戻った私の小さな経験を,これからの女性医師の働く環境整備の参考にしていただきたいと思う.
約十五年間,家事・育児に専念し,パートで勤務することはあっても,家庭中心の生活だった.一番末の子も中学生となり,再び医師として働きたいと強く思うようになった.医療の進歩は目まぐるしく,ちょっと油断するとすぐに“浦島太郎”状態になるので,長い間,現場を離れていれば研修が必要になるのは当然であり,今から復帰するのは無理と半ば諦めかけていた頃,知人の紹介で,精神病院に勤務する機会を得ることができた.その病院で勤務させていただくうちに,久留米大学精神科の医局に入局を希望する気持ちが強くなり,私的事情を配慮していただいたうえで,教授より入局の許可をいただくことができた.
現在は,久留米市の聖ルチア病院精神科で,経験豊富な三人の先生方のご指導のもと,「患者様を大切にする」をモットーに,日々,頑張っているつもりである.
現在,勤務医のなかで女性医師の占める割合は一四%で,近い将来,三〇〜四〇%になると推測されており,今の医師不足は,女性医師の増加が原因という説がある.それは,女性医師を取り巻く環境が,キャリアと家庭の両立を目指す者にとって,決して満足できるものではなく,場合によっては,どちらかを断念しなければならないことによると思われる.私のように長期離職した者が,復職できるための新しい研修制度のようなものがあれば,医師不足の解消に一役買えるのではないかと思う.
(福岡県久留米市・聖ルチア病院精神科 松山歌夜子)
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