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第1043号(平成17年2月20日) |
平成16年度都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会
勤務医をめぐる諸問題を協議
平成十六年度都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会が,昨年十一月二十六日,日医会館小講堂で開催された.(写真)
冒頭,あいさつのなかで植松治雄会長は,混合診療の問題に対する勤務医の理解を訴えるとともに,勤務医の労働過重問題に対する検討の必要性を強調した.
全国医師会勤務医部会連絡協議会
平成十六年度の協議会を担当した熊本県医師会の岡本喜雄理事より,「激動の時,新たな勤務医像を求めて〜新臨床研修制度とともに〜」をメーンテーマとして,十一月六日に熊本県で開催され,シンポジウムにおいても活発な議論が行われたことなどが報告された.
つづいて,平成十七年度担当の香川県医師会の廣畑衛副会長より,「Ambitious! 勤務医」をメーンテーマとして,平成十七年十月二十二日に開催予定であるとの報告があった.
都道府県医師会からの勤務医活動報告
岩手県医師会(口紘常任理事),大阪府医師会(藤田敬之助理事),広島県医師会(高田佳輝常任理事),香川県医師会(廣畑副会長)より,勤務医部会の活動状況等の報告があった.なお,大阪府医師会から報告された「勤務医の過重労働」の問題については,本紙三月二十日号に,その内容を掲載予定である.
協議(意見交換)
○医師の偏在について
岩手県医師会の口常任理事より,北海道,東北等では医師の偏在(不足)が深刻で,地域住民が困っており,日医が国民のために対策を取るべきとの指摘があった.さらに,臨床研修病院が研修医の専門医志向に合わせて,研修プログラムを曲げていることから,診療科の偏在を来しており,診療報酬によって医師の方向性をカバーするように,日医で対策を取るよう要望があった.
また,宮城県医師会の佐藤和宏常任理事からは,名義貸しの問題も医師の偏在が根幹にあるとの意見が述べられた.
これに対して,青木重孝常任理事は,今年度中に,厚労省に「医師の需給見通しに関する検討会」が設置され,医師の偏在についても検討される予定であり,そこでは地域における医師の標準数等についても議論される旨の発言があった.
また,三上裕司常任理事より,臨床研修修了後のいわゆる後期研修では,研修医が以前のように大学医局に戻り,医局制度による弊害が復活する可能性があるので,日医でも検討を行っているところであるとの説明があった.
○医師会への強制加入について
奈良県医師会の山本博昭理事より,力を結集するためには,医師すべてが医師会に加入することが望ましく,新医師臨床研修制度を契機として,可能な限り会員を増やしていく必要があるとの意見が述べられた.
これに対して,北海道医師会の山本直也常任理事から,医師と同じように専門職である弁護士が弁護士会に強制加入であるのに,医師会が任意加入であるのは間違っているのではないかとの発言があった.
一方,三重県医師会の登勉理事からは,強制加入ということになれば,除名処分や非常に厳しい自浄作用がなければならず,そのためには法的なバックグラウンドが必要であり,強制加入は難しいとの意見も出された.
この問題について,三上常任理事は,「医師全員の医師会加入が理想だが,強制加入となると政治活動等いろいろな面で制約が出てくるので,組織率一〇〇%を目指して組織強化を行いたい.そのための方策として,学会認定医・専門医制度のベースになる“日医認定医”制度を検討している.自浄作用として,いわゆるリピーター医師に対しては認定医資格を奪するというペナルティーも併せて考えている」と述べた.
この他に,新医師臨床研修制度の問題,労働過重と医療安全の問題等についても議論が行われた.
最後に,三上常任理事より,勤務医の医師会加入については,「メリット論ではなく,全医師が医師会に結集するという理念として捉えていただきたい.これは大きな情熱が必要な難しいことではあるが,各地域で日医の方針を十二分に勤務医の先生方に伝えて,組織率の向上を目指していただきたい」との要望があり,協議会は終了した.
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