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第1045号(平成17年3月20日) |
求められるチーム医療のなかの医師像
「ちゅらさん」で有名になった小浜島(私の故郷)は,幼少時「医介補」が島の健康を守っていた.しかし,少しでも病が重くなると,ヘリ依頼や用船などできない時代なので,石垣島で医師の診察を受けるため,一日一往復の小船に揺られ通った.
その時,私の目には医師は全人格者であり,全島民の尊敬を集め,一人でどんな病気でも治すスーパーマンのように映った.
今,私は内分泌,特に,乳腺を専門に日常診療を行っている.乳がん診療は,一人の乳腺外科医だけで診断から治療を行うことは困難であり,他科の医師,技師,看護師,患者がタッグを組み,病診・診診連携も組み合わせたチーム医療が不可欠で,昔のように一人の医師だけでは到底太刀打ちできない.
しかし,患者中心のチーム医療も,一人でも不心得者がいると,その結束はいとも簡単に崩れてしまう.それが医師であれば,なおさらである.それは患者さんへ正しく安全な医療が提供できないことを意味する.
医師は時代がどんなに移り変わろうとも,奢ることなく,礼節を重んじ,人間性に優れていなければならない.昔,私が信じていた医師のように.
私は約二十年続けた勤務医を卒業し,今年四月に乳腺専門クリニックを開設する.医の倫理綱領の【医師は互いに尊敬し,医療関係者と協力して医療に尽くす】ことを肝に銘じ,「和,輪,環」を重んじるチーム医療を実践していきたい.
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