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第1047号(平成17年4月20日) |
今年の2月に思ったこと
今年は医師を目指す者にとって重要な関門が,二月後半の一週間に集中していた.
一つは医師国家試験であり,もう一つは大学入試である.昨年から始まった二年間の卒後臨床研修を実りあるものにするためにも,前途有望な若者たちが自分の夢や希望を実現し,思う存分医療に貢献できるような環境を作りたいものである.
近年,日本の医療環境には厳しいものがあり,世界に誇るべき国民皆保険制度をはじめとする,だれでも,どこでも,一定レベルの医療が受けられる日本の医療システムは,今後,地域病院での医師確保の困難性や政策などの社会情勢によって,変わっていくのではないかと危惧される.病院の機能分化が進んでいく可能性もある.
一方,国公立の大学病院はというと,医師の定員は,私が医師になったころと基本的に変わっておらず,パラメディカルの人員配置も米国に比べてお粗末で,どこでも皆頭を抱えている.しかるに,電子化に伴って業務内容や病院のシステム上こなすべき事柄は驚くほど増えており,社会が医師に要求する責務も昔の比ではない.
病院のシステムが整備されてきたこと自体は,医療の質やレベルの改善につながるので良いことなのだが,医師の仕事量や負担は,昔の何倍にもなり,まじめな医師の悲鳴が聞こえてくる.
それゆえ,臨床はもちろん,学部学生や大学院生の教育担当や研究担当の教員も増員し,充実した環境作りが急務と思われる.そうなれば,医局講座制や教授に権限(=負担)が集中することの弊害も少なくなるだろう.国立病院も独立行政法人化して定員が自由になると聞いているので,それに期待している.
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