日医ニュース
日医ニュース目次 第1067号(平成18年2月20日)

勤務医のひろば

若い女医さんたちのためにできること

 女医が年々増加し,いかに女医パワーを医療の場で活用していくかが,ようやく議論されるようになってきた.勤務医の過重労働の解決のためにも避けて通れない問題であろう.では,どうすればきちんと働ける女医が育ち,継続して勤務していけるのか? 裏返して考えれば,どうして仕事や研究を中断する人が出てくるのか? 最大の問題は,妊娠・出産・育児に関連して生じる.
 妊娠・出産時には,仕事の代替をする医師が必要であるし,職場の人々の理解が必須である.また,育児に至っては,ある年齢までは,三百六十五日,二十四時間営業の大仕事である.子育てしつつ,医師としての仕事を続けるためには,かなりの体力と気力と財力が必要である.私の経験からいうと,子どもは三歳くらいまでは“二週間保育園に通って,二週間は熱を出す”生物である.実母か義母(あるいはその他の家族)の強力な子育て援助がない限りは,このハードルを越えることができずにキャリアを中断する女医がいることは,よく理解できる.「医師は他にもいるが,この子の母親は私一人しかいない」のである.
 せめて,二十四時間仕事がある病院には,二十四時間,三百六十五日受け入れ可能な保育所を設置すべきだし,病児保育も行うべきだと考える.子育て中の看護師さんだって,どれほど助かることか.少子化問題を本気で考えるのなら,出産費用を無料にするより,職場に適した保育所の設置を援助したほうが,よほど役に立つと考えるのは私だけだろうか?
 娘が十二歳になり,ひと息つけるようになった現在,若い女医さんたちのために,先輩として何ができるか,考える今日このごろである.

(山口大学医学部消化器病態内科助教授 黒川典枝)

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