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第1069号(平成18年3月20日) |
平成17年度都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会
女性医師の働き方や医師不足・偏在の問題等について協議
平成十七年度都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会が,平成十七年十一月十一日,日医会館小講堂で開催された.
冒頭のあいさつで植松治雄会長は,医師会が展開している患者負担増に反対する国民運動問題に,勤務医にも積極的にかかわってもらえる環境を医師会全体で構築していく必要性を強調した.
全国医師会勤務医部会連絡協議会
平成十七年度の協議会を担当した香川県医師会の廣畑衛副会長より,「Ambitious! 勤務医」をメインテーマとして,平成十七年十月二十二日に香川国際会議場で開催し,「地域医療の未来と勤務医」と題したシンポジウムにおいて活発な議論が行われたことなどが報告された.
つづいて,平成十八年度担当の埼玉県医師会の金井忠男常任理事より,次回は,本年十一月四日に,さいたま市内において開催予定であるとの報告があった.
都道府県医師会からの勤務医活動報告
茨城県医師会(伊東良則常任理事),長野県医師会(樋代昌彦常務理事),京都府医師会(東義人理事),愛媛県医師会(首藤貴常任理事)より,勤務医部会の活動状況等の報告があった.
協議(意見交換)
一,女性医師問題について
愛知県医師会の川原弘久理事より,「女性医師の問題は,妊娠・出産の時期に常勤の形で勤務できる体制,および医療現場への復帰システムをどう構築するかではないか」との指摘があった.
また,新潟県医師会の薄田芳丸理事は,「産休後のパートでの復帰を医局が認めなかったという現状があり,都市部で開業が増えている背景には,こういった医局の支配で希望する病院に勤務できないからということがある.医師会のドクターバンクが,その受け皿となれば,勤務医不足が一部解消するのではないか」と指摘した.
これに対して,寺岡暉副会長は,「次年度の厚生労働省の事業に女性医師バンク(仮称)の設置がある.これはパートタイム勤務など,女性医師がライフステージに応じて働くことのできる柔軟な勤務体系の促進を図るもので,再就業を希望する女性医師に対して職業斡旋を行うものである.この事業は,日医に委託される方向で話が進んでおり,東京と大阪が拠点となるが,これがうまくいけば全国に広がっていく可能性がある.
さらに,従来から各医師会に設置されているドクターバンクも,全国的なネットワークとして組織化するのが日医の役割である」と強調した.
二,医師不足と偏在
大阪府医師会の藤田敬之助理事は,「諸外国との比較からも日本の医師数は不足しており,勤務医が過重労働を強いられている」と指摘し,日医が主導して抜本的な解決策を図るよう要望した.
さらに,徳島県医師会の仁木敏晴勤務医部会長は,「医師不足は勤務医の厳しい勤務条件を改善しないと解決しない.行政が根本的な解決策を考えないと,地域医療は崩壊する」と指摘した.
また,茨城県医師会の伊東良則常任理事からは,「筑波大学に茨城県出身者の枠を確保する方向で話が進んでおり,県議会で,へき地対策として経費を出すことが決まりつつある」との報告があった.
石川県医師会の大家他喜雄理事は,「県内では,地域の開業医が市立病院の当直の手助けをしているところがあり,地域医療を守るという同じ目的のために勤務医に手を差し延べる姿勢も必要」と強調した.
一方,岩手県医師会の樋口紘常任理事からは,「都市部と地方では状況が異なり,北海道や岩手県などは,医師不足イコール医療不足であるが,そこが都市部とは違うところではないか」との指摘があった.
また,北海道医師会の三宅直樹常任理事は,「地域住民が満足できるような医療を提供している病院の場合は,一律に人員配置標準を当てはめる必要はなく,根本的な方策を考えてもらいたい」と訴えた.
このほかに,新医師臨床研修後の医師の教育問題等についても,議論が行われた.
最後に,三上裕司常任理事は,「厚労省は医師数と医療費とに相関関係があるということで,医師数を増やすことにためらいがあるようだが,医療の安全・質の確保のため,医師数は増やさなければならないと認識している.経済等との兼ね合いで,非常に難しい問題ではあるが,日医として精一杯努力したい」と述べた.
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