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第1085号(平成18年11月20日) |
仲間を増やすことが第一
病院や勤務医をめぐっては,新医師臨床研修制度,医局講座制度,労働条件,七対一入院基本料,看護師不足,医師地域格差,医師診療科間格差,男女共同参画など,話題に事欠かない.
福岡市勤務医会は一九七二(昭和四十七)年三月八日に正式に発足しており,最も歴史ある勤務医組織の一つと自負している.大きな方針は,(1)地域医療のレベルを率先して守り,向上すること(2)大学とは違った意味で現場での若手医師の指導,育成をすること(3)医師も含めてすべての職種の病院職員の資質向上を図ること―である.
各県ごとの新たな地域医療計画が立案されつつあり,地域医療の中核を担う集団として,積極的に協力,参画していくわけだが,医療資源の豊富な地域で,病院同士の連携をどのようにうまく行っていくのか,頭を悩ますところである.
古くて新しく,変わらない問題は,勤務医の医師会加入率の低さである.若手医師のみならず,医学部学生も,今の厳しい医療の現場を見ているので,むしろ切実に今後の医療の方向を危惧し,改善へ前向きな考えを持っている人が多い.これらの若いエネルギーの吸収なくしては,医師会という集団の将来が危ぶまれる.いろいろな考えもあるだろうが,まずは医師会加入促進のために,勤務医の会費を各種学会の年会費程度に下げることだ.郡市区医師会,県医師会,日本医師会と別々なのもいかがだろうか.一人よりも二人,二人よりも三人,四人と仲間を増やすことが第一ではないだろうか.
皆保険制度の素晴らしさを認めつつ,一方で,「医療,福祉は本来タダではないか」と錯覚するほどになってしまった国民に,実情を共に理解してもらう働き掛けが必要である.
(福岡市医師会勤務医会長・福岡逓信病院長 津田泰夫)
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