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第1103号(平成19年8月20日) |
都で始まった医師待遇改善
東京都には,十一の都立病院(総合病院:七,単科病院:四)と,東京都保健公社に属する五病院がある.私の属する豊島病院は,平成二十一年度に都立病院から公社に移管されることになっている.平成十二年から始まった都立病院再編も,一段落である.
これまで,隣接する東京都老人医療センターとの合併論議や,板橋区による区立病院化の検討を重ねてきたが,合意を得られることなく,最終的に公社化という方針に決定された.この間,方針が転々としたため,大学医局のいわゆる“引き剥がし”が起こり,いくつかの科が一時休診となってしまった.
公社化の方針が決まってからは,幸い,少しずつ医師の増員が図られたが,休診・再開という方針の極端な揺れは,患者さんばかりでなく,医師会の先生方からも信頼の低下を招いてしまった.
こうしたなかで感じるのは,中堅医師の確保の難しさである.部長,医長クラスをお願いしても,なかなか難しい.
都立病院の医師の待遇については,以前から,全国でもかなり低い位置にあると言われ,この点も医師派遣の要請に良い返事をもらえなかった理由だった.病院経営本部も,昨年度から,ようやく本格的に医師待遇改善に取り組み始めた.
昨年度は,医師初任給調整手当の増額(月額約三万円),医師職務住宅の確保が行われた.今年度は,医師当直手当が一回一万五千円から三万円に増額となった.また,医師研究研修費が今までとは別枠で,医師一人当たり年額二十万円が新たに支給開始となった.
今後も,待遇改善については,事務方に汗をかいてもらい,中堅医師の確保を目指していくつもりである.
(東京都立豊島病院副院長 山口武兼)
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