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第1125号(平成20年7月20日) |
医師事務作業補助者とのバトル
今年の診療報酬改定で,病院勤務医の事務負担軽減を目的に,“医師事務作業補助者”の配置に点数が加算された.第三次救急医療機関である当院には,ベッド数換算二十五対一で,十六名が配置された.医師五人に一人の割合である.
医師事務作業補助者の業務範囲にはガイドラインがあり,「診断書などの文書作成補助,診療記録の代行入力,医療の質の向上に資する事務作業,ならびに行政上の業務への対応」となっている.医師の指示の下に業務を行うことがポイント.医事業務,窓口業務,看護業務の補助,物品搬送は業務外である.
当院の医師事務作業補助者(医療アシスタント)は,“病院事務”を行うことを目的に採用された非常勤職員で,医療関係での職歴経験者はゼロ.ただし,競争率八倍の難関を突破した精鋭である.診療科の医師の人数に応じて配属となり,複数の診療科をカバーするアシスタントもいる.
四月中に,電子カルテや医療一般科目の講習を終え,連休明けから本仕事となった.午前の外来では医師の下,紹介状や返事の入力,検査や受診の予約入力,午後は,診断書の文書入力や,入院補助等が主な仕事である.
ところが現場は,いきなりの“秘書”の出現に大わらわ.何を指示してよいか惑う医師,指導に時間を費やし業務分担を断念する医師,仕事探しに苦悶する医師などなど.今のところ,医師の負担は減るどころか,増すばかりである.
そもそも,“秘書と働く環境”になかった医師がほとんど.これから半年かけて,医療アシスタントを育てあげ,医師の事務作業が軽減されるよう取り組んでいきたいが,新しい仕事に頭が痛い.
(鳥取県立中央病院副院長 根本良介)
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