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第1139号(平成21年2月20日) |
平成20年度都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会
「医師の大同団結を目指して」をテーマに協議
平成二十年度都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会が,平成二十年十二月四日,日医会館小講堂で開催された.
協議会は,三上裕司常任理事の司会で開会.冒頭のあいさつで,唐澤人会長は,「病院医師や診療所医師といった枠を越えて,一人ひとりの医師が医師会を中心に大同団結し,ともに医師として考え,行動していくことが求められている」と述べた.
全国医師会勤務医部会連絡協議会
つづいて,全国医師会勤務医部会連絡協議会について,今年度担当の千葉県医師会の池崎良三理事から,「『「考えよう新しい日本の医療と勤務医の未来」─今こそ求められる医師の団結─』をメインテーマとして,平成二十年十一月二十二日,千葉県浦安市内で協議会を開催し,『千葉宣言』が満場一致で採択された」と報告が行われた.
平成二十一年度担当の島根県医師会の田代收会長からは,「平成二十一年十一月二十八日に,島根県松江市内において協議会を開催する予定」との報告があった.
都道府県医師会からの勤務医活動報告
議事では,まず,北海道医師会の北野明宣常任理事から,北海道地域医療振興財団のドクターバンク推進事業,北海道医療対策協議会における医師派遣システム,北海道医師会ならびに北海道病院協会を実施主体とする緊急臨時的医師派遣事業等について説明が行われた.緊急臨時的医師派遣事業の派遣実績では,平成二十年十一月現在で延べ三百八十九名(派遣先医療機関は四十二カ所)に上るとの報告があった.
大阪府医師会の大笹幸伸理事からは,大阪市で来年度から見直しが予定されている宿日直体制等について説明があった.この新しい体制は,宿直以外の勤務を日勤と準夜の二勤に分類し,一直二勤務制の導入を行うもので,一直二勤を超えて勤務した場合には,一定の手当が支給されることとなる.また,対象診療科は,救急救命センター等に限定されるものの,他の診療科についても導入の検討が行われる.さらに,宿日直手当額も増額される予定である.
鹿児島県医師会の野村秀洋常任理事からは,同県医師会の勤務医構成率は平成二十年度で六三・六%に達しているが,その要因としては,県医師会長が研修医の採用ガイダンスにおいて,医師会の役割や医師賠償責任保険等について説明し,その声を研修医に届けていること,県・県医師会・大学の連携強化により,大学医局に入局した場合,県医師会にも入会するという流れが確立していることなどが挙げられるのではないかとの説明があった.
協 議
秋田県医師会の坂本哲也常任理事から,診療所医師が地域の基幹病院に出向き,休日の救急外来,平日の夜間救急などを行う「診療参加型病診連携」について説明があり,各医師会が「診療参加型病診連携」という名の下で,病院医師と診療所医師が協調することで大同団結し,それが社会的にも認知されるのではないかとの見解が述べられた.
岐阜県医師会の臼井正明常務理事からは,二百〜三百床クラスの病院は地域密着型の病院であるが,一方で機能縮小や閉鎖が起こっているのも同クラスの病院が中心であるとの指摘があった.そして,日医に病院崩壊を食い止めるためのさらなる対策を求めた.さらに,地方の切り捨て,医療の集約化の現状を見直して,大病院と中小病院の格差が少しでもなくなるような対策の必要性を訴えた.
広島県医師会の高田佳輝常任理事からは,医療安全調査委員会設置法(仮称)について,拙速に結論に走らず,悔いのない制度を構築すべきであるとの考えが示された.これについて,「同法案大綱案に記載されている『標準的な医療から著しく逸脱した医療』の定義がはっきりしていない」等の慎重な意見が上がる一方で,「医師法二十一条の問題を解決しなければならず,早急に制度を創設すべきである」との意見もあった.
三重県医師会の齋藤洋一理事は,平成二十年度診療報酬改定において,病院勤務医支援策として,入院時医学管理加算,医師事務作業補助体制加算等が手当されることになったが,それらの届け出要件は厳しく,地方の中核病院では困難な状況にあると説明.また,それらの手当ては病院経営面での一助にはなるが,直接医師に還元されにくく,医師に直接還元出来る何らかの方策も考えるべきではないかと述べた.
最後に,宝住与一副会長が閉会のあいさつで,「協議会での意見を十分参考にして対応していきたい」と述べ,協議会は閉会した.
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