日医ニュース
日医ニュース目次 第1145号(平成21年5月20日)

勤務医のひろば

医師不足,地域での取り組み
益田赤十字病院長 河野龍之介

 地方の病院の医師不足は深刻な問題であり,その流れを止めなくてはいけない.そのためには,勤務して良かったと言える環境づくりなど,地域や病院の努力も必要である.
 益田市では,行政と議会が一体となり,地域で医師を育て,地域医療を支える機運が芽生えてきた.勤務医師を大事にしようという動きも始まっている.産婦人科医に給与など優遇措置がなされてきている.
 私は,出来れば病院全体で均等にして欲しいと思う.休日診療所の開設,それによるコンビニ受診の抑制など,勤務しやすい状況を作り出している.
 地元高校に出向き,地域で働く医師希望者を募り,ガイダンスを行っている.大学では地域枠推薦,奨学制度を導入し,地域に残る医師を多く入学させている.圏域からも,毎年入学している.その成果もやがて実を結んでいくであろう.将来が楽しみである.
 一方,地域医療提供のためには,将来を見据えた医療提供体制の構築が必要と思われる.行政から医療計画は詳しく提示されるが,医師などの医療従事者の確保は,病院の努力に任されている.地域事情に応じた必要病院数,必要勤務医数の算定が必要である.
 近年,地方病院では小児科や外科系医師が少なく,これらの科の医師確保が非常に困難である.地域医療に必要な医師の確保には,何らかの制限をかけないと実現出来ない,と私は考える.

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