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第1165号(平成22年3月20日) |
平成21年度 都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会
「医療再生への進むべき道」をテーマに活発に協議
平成二十一年度都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会が昨年十二月四日,日医会館小講堂で開催された.
協議会は,担当の三上裕司常任理事の司会で開会.冒頭あいさつした唐澤人会長(竹嶋康弘副会長代読)は,国民生活を支えるためのあるべき医療というものは,「勤務医と開業医」「病院と診療所」が一体,一丸となって成り立つものであると強調.今後も円滑な地域医療推進のため,勤務医の先生方の意見も伺いながら,一層強力な政策提言をしていきたいと述べた.
引き続き,議事に移り,錦織優島根県医師会常任理事が,十一月二十八日に「今こそ目指そう医療崩壊から医療再生へ」をメインテーマとして,島根県松江市で,「平成二十一年度全国医師会勤務医部会連絡協議会」を開催したことを報告.そのなかでは,勤務医に対する緊急の施策を求める「島根宣言」が満場一致で採択されたことなどが紹介された.
また,福田健栃木県医師会常任理事からは,同協議会を,平成二十二年度には「地域医療再生 〜地域の力,医師の団結〜(仮)」をメインテーマとして,栃木県宇都宮市で開催するとの報告があった.
つづいて,今村聡常任理事が,勤務医の健康支援に関するプロジェクト委員会の活動を報告した.委員会で実施した「勤務医の健康の現状と支援のあり方に関するアンケート調査」の結果の概要を説明するとともに,その結果を基にして,(一)「医師が元気に働くための七カ条」「勤務医の健康を守る病院七カ条」(別掲参照)を作製したこと,(二)勤務医の健康支援のためのEメール・電話による健康相談を実施したこと,(三)医師の職場環境改善ワークショップ研修を企画していること─などが紹介された.
「医療再生へ進むべき道」をテーマとした協議では,まず,都道府県医師会から,勤務医活動報告が行われた.
増沢成幸神奈川県医師会理事は,昨年の六月一日午前〇時時点で勤務していた宿直医を対象として実施した「宿日直勤務環境現状調査」の結果を報告.休日の医療が勤務医の長時間にわたる宿直のうえに成り立っていることが本調査でも明らかになったとし,その改善策として,病院への手厚い診療報酬の配分を求めた.
内田正志山口県医師会勤務医部会企画委員は,平成二十年十二月一日に基幹病院内に休日・夜間こども急病センターを開設するまでの経緯と一年間の実績を説明.小児救急を機能させるためには,医師会,行政,小児科医会が一体となった取り組みが不可欠だとし,今回の取り組みが全国のモデルになることへの期待感を示した.
家守千鶴子福岡県医師会理事は,県医師会の勤務医部会の活動を紹介.医師会と医学部長・病院長との懇談会の開催や福岡県医学会の設立などにより,少しずつではあるがその成果が出てきているとした.また,今後の課題として,非会員医師に対する広報,医師会への理解を医師会加入につなげること─等を挙げた.
意見交換では,救急医療における病院勤務医の疲弊を解消するためのネットワークシステムの構築を求める意見や医師派遣システムの構築等,地域医療の立て直し策の提案などが示された.
勤務医の所得税減税や必要経費を認める税制改正を求める要望には,今村(聡)常任理事が,特定の業種に限って所得税を減税してもらうことは難しいとする一方で,日医はここ数年,勤務医の所得税減税を求めていること,経費については医業税制検討委員会でも検討していること等を説明し,理解を求めた.
勤務医の会費に対する日医の見解を問う質問には,羽生田俊常任理事が,公益法人改革に伴って定款の改正を議論しており,会費についても今後検討していきたいとした.
医師の供給体制の改善を求める要望に対しては,三上常任理事が,大学の医局の人材派遣機能が,ある程度復活しなければ難しいとして,今後良い意味での大学医局の復権を考えていく意向を示した.
最後に宝住与一副会長が,「本日の意見を踏まえて,日医としてもしっかり対応していきたい」と総括し,協議会は閉会となった.
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