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第1165号(平成22年3月20日) |
男女ともに働きやすい病院をめざして
島根大学医学部放射線医学講座教授 内田伸恵
医師不足,看護師不足が顕在化して久しい.厚生労働省の平成十八年の調査では女性医師の割合は一七%であったが,近年の医師国家試験合格者中の女性の割合は三〇%を超えており,三十年後には女性医師三割の時代が来ると予測されている.女性医療職のキャリア継続のため,出産育児や介護と仕事の両立を支援することが大切である.
島根大学医学部附属病院は,「地域医療と先進医療が調和する大学病院」を理念として,医学教育と地域医療に当たっている.女性医師の割合が二七%,医学科の女子学生の割合は四〇〜五〇%であり,全国平均に比べ女性の割合が高い水準にある.
当院は勤務環境の改善に力を入れており,特定非営利活動法人ej-netの「働きやすい病院評価」の認証を大学病院として初めて取得した.さらに平成十九年度文部科学省の「地域医療等社会的ニーズに対応した質の高い医療人養成推進プログラム」に応募した「女性医師・看護師の臨床現場定着および復帰支援策─しなやかな女性医療職をめざして─」が採択された.女性スタッフ支援室が中心となり,院内保育所と連携した病児・病後児保育や一時託児,相談窓口など多面的な支援策とフレキシブルな勤務を提供することにより,女性医療職が「しなやかに」働くことを支援している.女性が輝いて働ける職場は男性にも働きやすいはずである.
具体的成果が出るには時間を要すると思われるが,育児休業からの復職者の増加,正規雇用短時間勤務を選択する育児中女性医師の増加,男性医師の育児休業取得者など,「男女ともに働きやすい病院」をめざして一歩ずつ進んでいる.
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