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第1183号(平成22年12月20日) |
平成22年度 都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会
「勤務医の視点からの医師会改革」をテーマに開催
平成二十二年度都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会が十一月十九日,日医会館小講堂で開催された.
勤務医,開業医の枠を超えた団結を
協議会は,三上裕司常任理事の司会で開会.冒頭,原中勝征会長のあいさつを代行した中川俊男副会長は,昨今の医療を取り巻く諸問題について言及し,医学部の新設や医療ツーリズムの導入などの動きに対しては,強く反対していく意向を表明するとともに,次回の診療報酬と介護報酬の同時改定に向けて,医療費の大幅かつ全体的な引き上げを強く求めていくとした.さらに,同副会長は「昨今のような厳しい状況においては,勤務医,開業医の枠を超えて,一致団結し,強い組織力を示すことが必要になる」として,さらなる協力を求めた.
全国医師会勤務医部会連絡協議会報告
引き続き,議事に移り,福田健栃木県医師会常任理事が,十月九日に宇都宮市で開催された,平成二十二年度全国医師会勤務医部会連絡協議会の報告を行った.本協議会は,「地域医療再生〜地域の力,医師の団結〜」をメインテーマに,一般市民にも公開して開催されたものである.
なお,採択予定であった「栃木宣言」は,改めて栃木県医師会と日医勤務医委員会で取りまとめを行い,当日この場で発表された.
さらに,南里泰弘富山県医師会理事からは,平成二十三年度に同協議会を,「今後の勤務医のあり方(今,何をなすべきか)(仮)」をメインテーマとして,富山市で開催するとの報告があった.
医師の労働時間の設定基準作成へ
つづいて,今村聡常任理事が,勤務医の健康支援に関するプロジェクト委員会の活動として,(一)「医師の職場環境改善ワークショップ研修会」を開催したこと,(二)「医師の労働時間の設定基準に関する現場実証調査研究」を行っていること―等について報告した.
(一)では,今年度,熊本県,岡山県,京都府の三医師会でも開催してもらうことを紹介し,次年度には,ぜひ多くの都道府県で開催して欲しいと呼び掛けた.また,(二)については,今後二年間かけて,調査研究を行い,医師の労働時間の設定基準(案)を作成予定であるとした.
秋田,新潟,宮崎各県の活動を報告
「勤務医の視点からの医師会改革」をテーマとした協議では,まず,都道府県医師会から,勤務医活動報告が行われた.
坂本哲也秋田県医師会副会長は,県内で実施されている診療所の医師が中核病院で病院の要請により診療を行う「参加型病診連携」のシステムを紹介.また,メディカルクラークの導入状況の調査や報告会,講演会を実施したことを説明した.
塚田芳久新潟県医師会理事は,平成元年より五年ごとに行っている「勤務医の現況と将来」に関するアンケート調査の結果を踏まえて,病院勤務医にとって医師会は遠い存在になっていることを指摘するとともに,勤務医の意見を反映させるため,日医執行部に勤務医枠を設けるべきと主張した.
上田章宮崎県医師会理事は,現状の問題点として,「医師会の会費が若い勤務医にとっては高すぎる」「勤務医の意見が医師会に反映されにくい」「勤務医部会活動への参加が少ない」などを挙げ,日医としてもその改善に努めて欲しいと要望した.
勤務医の加入率向上を目指して
その後の協議では,都道府県医師会からあらかじめ寄せられていた意見・質問についての意見交換が行われた.
勤務医の意見を反映させるため,勤務医を日医の執行部に入れるべきとの要望には,今村(聡)常任理事が,「さまざまな可能性について検討を行っていくが都道府県でも検討して欲しい」と述べた.
勤務医の日医への加入率を高めるための手段としては,各医師会から,「三層構造の廃止」「広域会員制度の創設」「初期研修医は二年間研修医会員として無料で医師会員とする」等,さまざまな提案が出された.
これに対して,中川副会長は,「組織率と勤務医の加入率の向上は医師会にとって,永遠のテーマであるが,まだ,その解決策は見つかっていない」としたうえで,「医師会活動はすばらしいものである」ということを勤務医に理解してもらうための努力を続けていく意向を示した.
また,勤務医の労働環境の悪化に起因する勤務医不足の改善には,女性医師が仕事と子育てを両立出来る就労システムの確立が必須であることから,今後,実効性のある支援策をさらに推進して欲しいとの要望が出された.
最後に今村(聡)常任理事が,「日医と都道府県医師会が連携し,勤務医が働きやすい医師会をつくっていきたいと考えているので,引き続き協力をお願いしたい」と総括し,協議会は終了となった.
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