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第1187号(平成23年2月20日) |
ナースのお仕事
札幌市勤務医協議会会長 工藤靖夫
最近,チーム医療の重要性が叫ばれ,また同時に医師の過重労働も問題となり,看護師の医療行為について注目が集まっている.
このようななか,特定看護師(仮称)の業務範囲,自律的な判断が可能な範囲等について検討するとした報告書が昨年六月十五日の行政刷新会議において了承された.
そもそも看護師の業務については,保健師助産師看護師法(保助看法)第五条の規定により,療養上の世話又は診療の補助を行うこととされている.
また,同三十七条によれば,“保健師,助産師,看護師又は准看護師は,主治の医師又は歯科医師の指示があった場合を除くほか,診療機械を使用し,医薬品を授与し,医薬品について指示をしその他医師又は歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならない”とされている.逆に言えば,医師の指示があれば医療行為が出来ると解釈されるが,どのような医療行為まで可能かの規定はない.
診療の補助としての医療行為については,平成十四年に静脈注射,平成十九年に薬剤投与量の調節が加わったが,その他現在も不明確なものが多いのは問題である.
チーム医療推進会議の部会で,二百三項目の医療行為について看護師がかかわっているか実態調査をしたところ,看護師の回答で「現在看護師が実施している」という割合が五〇%を超えたのは,「尿を出すためのカテーテルの挿入」(八七%)や「低血糖時のブドウ糖投与」(八一%),「患者・家族らへの教育や心肺停止患者の気道確保」など二十一項目との報告がなされた.
今回,特定看護師(仮称)の医療行為案が取りざたされているが,特定看護師(仮称)の制度を議論する前に,診療の補助として現在行われているような医療行為の早急な明確化が望まれる.
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