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第1221号(平成24年7月20日) |
日本医療コンフリクト・マネジメント学会
新潟県医師会が第1回学術大会を主管開催
日医理事(新潟県医師会理事) 塚田芳久
渡部新潟県医師会長 |
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クレームに対する窓口対応の際に強い味方となる,医療メディエーター(対話仲介者:Healthcare Mediators)の関係者が,平成二十三年九月に日本医療コンフリクト・マネジメント学会(理事長:久史麿日本医学会長)を結成した.
第一回学術大会を企画することになり,新潟県医師会が主管となって,本年一月二十一,二十二の両日,新潟県医師会館で,渡部透新潟県医師会長(写真)の大会会長あいさつを皮切りに盛大に開催された.
患者サポート体制充実加算
平成二十四年四月より認められた患者サポート体制充実加算において,常時配置の窓口担当者は医療対話仲介者の研修修了者が望ましいとされているが,二時間余の導入編講義と,終日二日間の実習を含む基礎編研修を受講することで,医療メディエーターB(Basic)の資格は取得出来る.
日本医療メディエーター協会(久理事長)はメディエーター養成と並行して,相談窓口体制や医療安全推進体制について情報提供している.
医療メディエーターの意義
医療メディエーターは医療相談窓口の担当者,患者医療者関係の齟齬(そご)解消の仲介者として必要性が評価されてきた.患者さんや家族との窓口対応のみならず,医療者の受けるストレスを緩和しながら対話を促進出来る点は見逃せない.対話を推進する中で情報を共有し,それぞれの気づきが理解を深める過程の場面設定や環境整備などを援助する役割である.理解の齟齬(そご)が頻発している医療の現場において,主役である医療者側と患者側の対話・理解促進のための第三者的介入は,医療者にとって歓迎すべき体制である.また,この技法や考え方であるメディエーションマインドは,組織管理の理解促進法としても有効なツールと考えている.過重労働で余裕のない状況において,ストレスフルな雰囲気緩和・改善のためには,メディエーションマインドのある職員を増やすことが有効である.
特別講演
日本における医療メディエーター育成の祖である,早稲田大学法科大学院教授の和田仁孝先生が,「コンフリクト・マネジメント研究と医療」と題し,紛争学や法社会学,人類学など幅広い学問体系の中から,医療メディエーター育成に至る歴史が紹介された他,学問としての奥深さや医療メディエーター教育の確固たる基本が示された.
シンポジウム
シンポジウム1「地域における医療コンフリクト・マネジメント」では,長島久信州大学教授,荒神裕之厚生中央病院長補佐の両先生の座長の下,横山清栄(札幌東徳洲会病院),中西淑美(山形大学准教授),上條福子(松本市立波田総合病院副看護部長),辻哲朗(福井総合クリニック院長),和田博和(岡山協立病院),今川俊一郎(愛媛県医師会理事),真名井敦(医療法人アガペ会)各氏が,全国各地の代表者として,医療メディエーター活動報告を行った.
シンポジウム2「病院内の医療コンフリクト・マネジメント」は,杉浦良啓市立敦賀病院副院長,中西淑美両先生を座長として行われた.シンポジストには医療メディエーターとして現場で活躍する,遠田光子〔全国社会保険協会連合会(以下全社連)事業部患者安全推進室長〕,遊道桂子(尼崎医療生協病院医療安全管理室長),石井富美(衣笠病院グループ経営企画室長),依田明久(国立がん研究センター中央病院患者相談室長),橋井康二(ハシイ産婦人科院長),杉浦良啓(市立敦賀病院麻酔科副院長)各氏を迎え,座長からの症例提示に,医療メディエーターとしての対応方法や注意点などを解説するなど,現場ノウハウの粋を結集したシンポジウムが展開された.
第二回学術大会
平成二十五年一月二十六,二十七の両日に,伊藤雅治大会会長(全社連理事長)の下で,全社連研修センターにおいて開催予定となっている.
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