日医ニュース
日医ニュース目次 第1229号(平成24年11月20日)

勤務医のページ

平成24年度全国医師会勤務医部会連絡協議会
「新しい医療の姿─勤務医の明日─」をメインテーマに

勤務医のページ/平成24年度全国医師会勤務医部会連絡協議会/「新しい医療の姿─勤務医の明日─」をメインテーマに(写真) 平成二十四年度全国医師会勤務医部会連絡協議会(日医主催,愛媛県医師会担当)が十月六日,松山市内で開催された.
 愛媛県内の女性医師の労働環境の整備,医療メディエーションの活用状況,救急医療体制の工夫について全国に向けて発信し,勤務医問題の改善につなげるべく,「新しい医療の姿」をメインテーマに,「勤務医の明日」をサブテーマに選定.来賓に中村時広愛媛県知事(代理:長谷川淳二副知事),野志克仁松山市長(代理:遠藤美武副市長)を迎えて,全国から三百八十六名が参加し,協議を行った.
 冒頭にあいさつした横倉義武会長は,協議会の歴史と宣言文の意義を示し,「地域医療の再興とともに現場の実情を詳細に受け止めることが必要」とし,「日医が取り組む課題の達成には,勤務医を含めた医師会の組織力強化が重要」と述べた.次にあいさつした久野梧郎愛媛県医師会長は,「昨年の富山での協議会の余韻を今年に引き継ぎたい」との思いを述べ,「本協議会によって勤務医問題解決の糸口を共有出来ることを願う」とした.

勤務医のページ/平成24年度全国医師会勤務医部会連絡協議会/「新しい医療の姿─勤務医の明日─」をメインテーマに(写真)特別講演1「地域に寄り添う医療政策の実現に向けて」

 横倉会長は,国民皆保険の堅持,国民の視点に立った多角的な事業など,日医の目指す方向性を示し,国から地方へのトップダウンではなく,地方の実情に合った施策が必要と指摘.その際には都道府県医師会が行政のカウンターパートナーとなるべきとした.また,勤務医の過重労働に触れ,「今後,終末期に施設からの救急搬送の増加が予想されるが,在宅往診,看取りなどにおいて医師会の役割はますます拡大される」とし,「医師会を中心とした地域連携づくりが必要である」と述べた.

特別講演2「勤務医の処遇改善における課題と解決策案」

 嘉山孝正独立行政法人国立がん研究センター名誉総長は,WHOの統計で日本の医療水準は世界的に見ても高いが,国民は医療にアメニティーを求めているため必ずしも満足していない人も多いと指摘.また,「勤務医のモチベーション維持のためには,診療報酬で勤務医個人を正当に評価しなければならない」とし,医学教育に関しては,「日本の医療を支えるのは人」で「教え合う文化を守ることが大切」と述べた.

日医勤務医委員会報告

 泉良平日医勤務医委員会委員長が,前期委員会に対する会長諮問「すべての医師の協働に果たす勤務医の役割」に対する答申の内容を説明し,勤務医の代表として,今年度より日医理事会にオブザーバー参加していることを報告した.

シンポジウム1「女性医師支援とその問題点」

 「愛媛県の女性医師問題─アンケート調査結果と愛媛県内の取組み─」(今井淳子愛媛県医理事),「愛媛大学医学部マドンナ・ドクター養成プロジェクトの紹介」(高田清式愛媛大医学部総合臨床研修センター教授),「女性医師からの声」(飯尾千春子愛媛大大学院病態情報内科学大学院生医員)の講演が行われた.

シンポジウム2「医療コンフリクト・マネージメントの活用」

 「医療コンフリクト・マネージメントとは:医療メディエーションの活用」(和田仁孝早大大学院法務研究科教授),「愛媛県医師会の取組み」(今川俊一郎愛媛県医常任理事)の講演が行われた.

シンポジウム3「救急医療体制維持の工夫」

 「都市部の救急体制─松山医療圏の救急医療輪番制の歴史と現状─」(濱見原愛媛県立中央病院救命救急センター長),「遠隔地の救急体制─八幡浜・大洲圏域の救急体制の現状と地域医療再生計画による取組み」(武方誠二愛媛県八幡浜保健所長)の講演が行われた.
 その後の総合ディスカッションでは,まずコメンテーターの小森貴常任理事から三つのシンポジウムについての総評があり,質疑応答では,「フルタイムで働くことが出来ない女性医師のモチベーション維持はどうすればいいか」「当直翌日の勤務の規定を具体的に統一すべき」など,多くの意見・要望が出され,活発な討論が行われた.

愛媛宣言(案)

 協議会の最後に愛媛宣言案が読み上げられ,会場に意見を求めた.その結果,本宣言案は愛媛県医師会で後日まとめ,日医の勤務医委員会にて検討後に公表することとし,協議会は終了した.

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