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第1279号(平成26年12月20日) |
勤務医は地域医療連携推進の最大の障壁なのか?
宮崎県立日南病院 医療管理部医療連携科部長 木佐貫 篤
「勤務医の連携への理解がなく困る」こう書くと日医会員の皆様からお叱りを受けそうだが,各地で医療連携実務者と意見交換すると必ず出てくる意見である.
地域完結型医療が求められる現在,地域医療連携は必須のマネジメント項目である.
その役割を担う地域医療連携室(名称はさまざま)は,看護師やメディカルソーシャルワーカー,事務職員からなる職種横断的な部署で,全国のほとんどの病院にある.連携室では紹介予約,紹介状/返書管理,退転院調整支援,地域連携パス事務局,各種研修会運営等の業務を行っている.
それらの業務をスムーズに行うためにも,勤務医の理解が必要である.
なぜ勤務医は地域医療連携の障壁なのか.
一,病気そのものしか見えておらず,患者の入院前や退院後の生活に考えが及ばない.
二,医師の発言は患者家族には決定的である.「この状態なら家に帰れない」と言われたら在宅医療は難しい.
三,積極的治療からの方針転換ができず,その後の指針が示せない.
背景には,本院のような地方病院の勤務医は在籍期間が短く,地域医師会へ加入せず,開業医との信頼関係がない,退院調整は煩わしいという考え,介護保険への理解不足,医師教育課程で医療連携を学んでいない,などの要因がある.
今後,地域包括ケアシステムが求められる中で,勤務医にも在宅医や地域とのつながりが必要となる.各地で地域医療連携に取り組まれてきた結果,地域では多職種によるチーム医療が実践されつつある.
勤務医にはチーム医療の一員として,退院前カンファレンスやさまざまな研修会に参加してもらいたい.
「勤務医のおかげで在宅療養が順調にできている」そんな声が多く聞かれる日が来るといいなと思う.
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